【小児外科医が解説】グリセリン浣腸は危ない?癖になる?|子どもの便秘、飲み薬との違いと安全な続け方|小児科|栄養外来・便秘専門外来なら小森こどもクリニック|根本治療に対応

〒185-0011 東京都国分寺市本多2-3-3
オーケー国分寺店並び、国分寺市商工会館4階A号室

042-322-5585

お電話・問い合わせ042-322-5585 WEB予約 ワクチン・
乳幼児健診の予約
WEB問診
下層メインビジュアル画像(PC)

【小児外科医が解説】グリセリン浣腸は危ない?癖になる?|子どもの便秘、飲み薬との違いと安全な続け方

【小児外科医が解説】グリセリン浣腸は危ない?癖になる?|子どもの便秘、飲み薬との違いと安全な続け方|小児科|栄養外来・便秘専門外来なら小森こどもクリニック|根本治療に対応

2025年4月03日

【小児外科医が解説】グリセリン浣腸は危ない?癖になる?|子どもの便秘、飲み薬との違いと安全な続け方

「浣腸を毎日続けて、危なくないの?」「癖になって、自分で出せなくなるのでは?」「飲み薬のほうがいいのでは?」。浣腸での治療を始めるとき、多くのお母さん・お父さんが、こうした不安を抱えます。

当院には、重症の便秘や、便秘の期間が長いお子さんが多く受診します。特に小さなお子さんや便秘歴の長いお子さんでは、まずグリセリン浣腸から始めて、「毎日しっかり出す習慣」を体に覚えてもらうことが、しばしば必要になります。

この記事では、浣腸の安全性と「癖になる」という心配への答え、そして飲み薬との違いを、順番に整理します。

🎥 【動画で解説】「様子見」と言われ続けてきたご家族へ

便秘がなかなか治らず行き場を失っている方へ。まずは小森院長からのメッセージ動画(約5分)をご覧ください。便秘治療の方向性についてお話ししています。

浣腸は危ないの? — 医療の現場で毎日使われている、安全な方法

グリセリン浣腸は、医療の現場で当たり前に使われている方法です。新生児集中治療室(NICU)では、必要に応じて、生まれたばかりの赤ちゃんに1日に何回も浣腸をすることもあります。正しいやり方で行えば、ご家庭で毎日続けられる、安全な治療です。

気をつけたいのは、やり方が分からないまま行って、お尻や直腸を傷つけてしまうことです。基本の手順は、次のとおりです。

・ 浣腸液を、人肌くらいに温める(手のひらで20秒ほど。冷たいと刺激が強くなります)
・ お子さんが安心できる姿勢にする
・ 先端にワセリンなどを塗って、すべりをよくする
・ 肛門から3〜5センチ入れる(ストッパーの目盛りを合わせておけば、入れすぎる心配はありません)
・ 5〜10秒かけて、ゆっくり注入する
・ 注入したら、おしりを軽く押さえる。我慢は30秒〜1分で十分です

姿勢は、教科書どおりの「左を下にした横向き」にこだわらなくて大丈夫です。仰向けでも、お父さん・お母さんの膝の上でうつ伏せでも、お子さんが怖がらず、毎日無理なく続けられる形がいちばんです。

浣腸の量や回数、始め方は、お子さんの状態によって変わります。自己判断で始めたり、量を変えたりせず、必ず医師と相談しながら進めてください。

浣腸は癖になるの? — 「前向きな浣腸」が育てるもの

浣腸には、2つの使い方があります。1週間溜めてしまってから仕方なくする浣腸と、毎日決まった時間にする前向きな浣腸です。

溜めてからの浣腸では、本人にとって「1週間に1回、苦しんで出す」ことが習慣になってしまいます。一方、前向きな浣腸は、毎日すんなり出すという良い習慣を体に覚えさせていく練習です。毎日出すことが「癖」になり、それがリズムになり、やがて自分で出せるようになっていく。浣腸が「癖になる」とすれば、それはこの良い癖のことなのです。

何年も毎日浣腸を続けて、自分の力で出せるようになっていくお子さんもいます。浣腸は「最後の手段」ではなく、最初の味方です。

浣腸治療の本来の目的

まずは“しっかり出す”リズムを体に刻む

便秘が重症の場合、内服薬だけで思うように排便が確立しないケースも少なくありません。

グリセリン浣腸を用いて確実に「毎日排便する」というリズムを身体に覚えさせることで、腸と脳に「排便タイミング」を学習させます。

「浣腸=その場限り」ではなく、続けることで毎日出す習慣が身につくのが大切なポイントです。

長期的には自力排便の土台

将来的には「自然に自分の力で出せる」ように目指しますが、その“突然の自力排便”は、決して浣腸が無駄だったのではなく、浣腸で培ってきた排便リズムが大きな土台になっているのです。

「飲み薬に替えたら急に出るようになった=浣腸は無駄だった」は誤解です

実際には飲み薬で治療を続けている

「浣腸をやめて飲み薬にした途端、急に毎日出るようになった」というケースがありますが、そこで使っているのは飲み薬という治療方法です。

つまり、完全に自力排便で出しているわけではなく、形を変えて“排便リズムを継続”しているという点を忘れてはなりません。

浣腸が生んだリズムと力

「突然うまくいき始めた」ように見えても、浣腸の期間に蓄えた排便のリズムや腸の学習効果が大きく影響しています。決して浣腸が無意味だったのではなく、それがあったからこそスムーズに移行できたのです。

浣腸と飲み薬のメリット・デメリット

便秘治療には大きく分けて「浣腸」と「飲み薬」の2つの方法があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。

便秘の治療に悩む家族

浣腸のメリット・デメリット

メリット

– 即効性があり、毎日“出し切る”経験を積ませやすい
– 便が残りにくいため、お腹の張りや痛みを減らしやすい
– 一度にしっかり出す感覚を体が覚えやすい

デメリット

– お尻への刺激を嫌がるお子さんが多い
– 挿入や体勢の負担、親御さんが心理的に抵抗を感じる場合もある
– 適切なやり方が分からないまま行うと、お尻や直腸を傷つけるリスクも

飲み薬(内服薬)のメリット・デメリット

メリット

– お尻に触れないため、挿入の抵抗感がなくなる
– 飲みやすいお薬なら、比較的続けやすい
– 外出先でも対応しやすい

デメリット

– そもそも「お薬を飲むこと」が苦手なお子さんも多い
– 便を柔らかくしすぎてしまい、急に便意がきて漏れてしまう(学校や保育園での“うんち漏れ”)などの相談が多い
– 効き目がマイルドで、重症の便秘には十分なリズムが作れない場合もある

結局、どちらが良いの?

結論から言うと、「浣腸と飲み薬のどちらが絶対に良い」というものではなく、その子の便秘の状態や性格・生活環境に合わせて選択・併用することが大事です。

1. まずは“しっかり出す”習慣をつくり、便を溜めない生活を送る

2. リズムが確立した頃に、必要に応じて方法を変えたり、減らしたりする

3. 最終的には、いずれ薬を使わなくても出せる状態(真の自力排便)を目指す

ですから、浣腸が良い・飲み薬が良いというより、それぞれにあるメリット・デメリットを踏まえて、どちらがより“続けやすいか”を一緒に考えるのが当院の方針です。

短期ゴールと長期ゴールを意識した便秘治療

短期ゴール:とにかく「毎日出す」

– まずは便を溜めず、スッキリ出して生活の質を上げる

– お子さんの気持ちや状態に合わせて、浣腸や内服薬を適宜選択する

長期ゴール:いずれ自力排便へ

– 浣腸でも内服薬でも、毎日排便を続けていくうちに、体が自然と“便意”を感じ取りやすくなる

– 「ある日、飲み薬を減らしても出せるようになった」「浣腸の回数を徐々に減らしたら自力排便が定着した」といった段階を踏み、薬を要しない自力排便を目指していく

子供の便秘4コマ漫画

まとめ — 浣腸も飲み薬も、あくまで「道具」

– 浣腸は無駄ではなく、排便リズムを体に覚え込ませるための重要な方法です。

– 飲み薬が急に上手くいくようになった場合でも、それは浣腸で培った土台があってこそです。

– 内服薬にもメリットがある一方、「お薬を飲むのが苦手」「便がゆるくなりすぎて困る」などのデメリットも存在します。

– 最終的な目標は自力排便ですが、そこに至るまでは浣腸にしろ内服薬にしろ、生活に無理なく取り入れやすい方法を選ぶのが大切です。

不安は、ためこまずにお伝えください

「浣腸が不安」「飲み薬ではダメなのか?」「結局どっちがいいの?」など、便秘治療に関する疑問や不安がございましたら、今、当院で治療中のお子さまも含め、その不安をお伝えください。

便秘治療には「これが正解」という唯一無二の治療があるわけではありません。

それぞれのお子さんの便秘治療のゴールに向けて、今の悩みや問題を含め、無理のない治療を相談しながら見ていきたいと思っています。お悩みを抱え込んでしまうことで、治療の方向性にズレが生じてしまうのはとても残念なことです。

お子さんにとっても、ご家族にとってもストレスが少なく、毎日の生活がより快適になる方法を、一緒に考えていきましょう。

薬だけに頼らない——「栄養」からのアプローチ

便秘の治療は、浣腸や飲み薬による「出す治療」が基本です。しかし、長期的に便秘を卒業していくためには、腸が本来の力を取り戻す「土台づくり」も大切です。

腸の粘膜を守り、蠕動運動を支えるためには、鉄・亜鉛・マグネシウム・ビタミンDなどの栄養素が適切に足りていることが重要です。当院では便秘外来と分子栄養学外来を併設し、薬の治療と栄養の両輪でお子さんの便秘改善をサポートしています。

▶ 子どもの不調を栄養で改善|当院の分子栄養学・詳しい治療の流れと費用

合わせて読みたい関連記事

▶ 子どもの便秘、治療のゴールは?「3S」でわかる便秘の目安と治療の考え方|記事一覧つき
本サイトの子どもの便秘の記事を、段階ごとにまとめています。

▶ 【小児外科医が解説】子どもの便秘、原因と解消法を徹底解説
便秘の原因から治療の進め方まで、便秘専門サイトでまとめています。

▶ 小児の便秘治療|「浣腸か薬か?」迷う前に知っておきたい正しい選び方
浣腸と飲み薬の選び方を、便秘専門サイトで詳しく解説しています。

▶ 子どもの便秘と栄養|鉄・ビタミンD不足と「入れる順番」
便秘が長引くお子さんの背景にある栄養を、便秘専門サイトで解説しています。

栄養のヒントを、LINEで受け取る

子どもの栄養について、診察室では話しきれないことや、「今日ひとつだけできること」を、小森こどもクリニック 栄養の公式LINEで少しずつお届けしています。ご登録いただくと「栄養療法スタートアップガイド」もお読みいただけます。何から始めればいいか迷う方は、ここから受け取ってください。

▶ 小森こどもクリニック 栄養の公式LINEに登録する

「うちの子はどうだろう」と確かめてみたい方へ

「浣腸が不安」「飲み薬ではダメなのか」「結局どちらがいいの?」と迷ったときは、一度ご相談ください。当院の便秘外来では、小児外科専門医が、お子さんの様子とこれまでの経過をうかがい、浣腸と飲み薬の使い分けと、自力排便までの道のりを一緒に考えます。遠方の方の受診の窓口も、下のページにまとめています。

▶ 便秘外来 受診について(窓口の選び方・ご予約)

ご予約は、当院ホームページの予約システム(デジスマ診療アプリ)から承っています。

▶ 受診のご案内・ご予約はこちら

すでに通院中の方へ:浣腸も飲み薬も、あくまで道具です。いまの方法に迷いがあれば、次の診察でそのままお聞かせください。

浣腸の使い方を、もっとくわしく知りたい方へ。 便秘専門サイトに、グリセリン浣腸の安全性(「おしりの傷から成分が入ると危ない」という誤解)と、痛くないための3つのコツをまとめた詳しい解説があります。

👉 【小児外科医解説】子どもの便秘とグリセリン浣腸|「傷から入ると危険?」の誤解と、痛くない正しい使い方

院長の本|『うんちが出ない!』(2026年12月9日発売)

小森広嗣『うんちが出ない!』の表紙

この記事でお伝えしていることを、一冊にまとめました。年間5,000人が受診する便秘専門外来から生まれた、子どもの便秘の本です。治療コース契約書・排便カレンダーなど、診察室で実際に使っている道具を5大特典として付けています。

▶ Amazonで予約・購入する

▶ 本の詳しいご案内(便秘専門サイト)

診察室の外の発信

診察室では話しきれないこと、医師が何を考えながら診ているのかを、Xでも書いています。

小児外科医 小森広嗣🩺栄養×お腹 @KomoriKodomoCL

この記事の執筆・監修者

小森こどもクリニック 院長 小森 広嗣(こもり こうじ)

小児外科専門医・指導医、医学博士。慶應義塾大学医学部卒業後、東京都立小児総合医療センター外科医長などを経て、小森こどもクリニックを開院。小児外科の出身として、いまは地域の中で、お腹と栄養の外来を深く追求している。

「成長の感動や喜びをお子さん・ご家族と分かち合い、楽しく安心して子育てができる社会を創る」ことを自身のビジョンとし、診療と情報発信の両輪で活動している。

▶ 著書:『うんちが出ない!』(英智舎・2026年12月9日発売)

▶ 取材・講演のお問い合わせ:press@komori-kodomo.com

TOP