栄養(朝起きれない、落ち着きがないなど)
栄養(朝起きれない、落ち着きがないなど)

「朝どうしても起きられない」「落ち着きがない」「すぐイライラする」
お子さんのこうした様子を見て、「育て方が悪いのかな」「この子の性格だから仕方ない」とご自身を責めていませんか。
実は、一見つながりのないような心や行動の不調が、体の中の「隠れ栄養失調」から起きていることがあります。カロリーは足りていても、鉄やビタミンB群、亜鉛などが不足している状態です。一般的な健康診断では「異常なし」と言われることも多く、見過ごされやすいのが特徴です。
当院では、同じ血液データを栄養の視点から読み解くことで、こうした「見えない不足」を可視化し、お子さんの体の土台を整えるアプローチを行っています。よくある症状と、当院の治療方針をご紹介します。
朝、声をかけても起きられない、午前中は頭痛やめまいでぐったりしている——こうしたご相談が小学校高学年〜中学生で急増しています。「起立性調節障害(OD)」と診断されることも多いですが、その背景に鉄不足や夜間の低血糖が隠れているケースが少なくありません。
当院では、一般的な血液検査では見逃されがちなフェリチン(貯蔵鉄)を詳しく確認します。不足している鉄やビタミンB群を食事や医療用サプリメントで補い、血糖値の乱高下を防ぐ補食(おやつ)の摂り方も具体的にお伝えします。
詳しくは起立性調節障害のページもあわせてご覧ください。
「学校から帰るとすぐ横になる」「少し歩いただけで疲れたと座り込む」——子どもらしい活力が感じられない場合、体の中でエネルギー(ATP)を作り出す力が落ちている可能性があります。エネルギーを作るには鉄とビタミンB群が欠かせません。
まずは貧血や他の疾患が隠れていないかを診察します。その上で、血液検査からエネルギー代謝の状態を評価します。甘いお菓子やジュースで糖質過多になると、エネルギーを作るためのビタミンがどんどん消費されて「疲れやすい体」になります。おやつをタンパク質中心のものに変えるなど、ご家庭でできる食生活の改善からお伝えします。
夜なかなか寝つけない、夜中に何度も目が覚める、悪夢や寝汗がある——こうした睡眠の問題にも、栄養が関わっていることがあります。睡眠ホルモンであるメラトニンは、鉄とトリプトファン(タンパク質)を材料にセロトニンを経由して作られます。鉄が不足すると、このラインが滞り、眠りの質が落ちてしまいます。
また、夕食後のジュースやお菓子で夜間に血糖が急降下すると、体がアドレナリンを出して覚醒してしまう「夜間低血糖」が起きることもあります。寝汗がひどい、歯ぎしりをする、悪夢で目が覚める——こうした夜の症状は、夜間低血糖のサインかもしれません。
鉄やビタミンB群の充足度を血液検査で確認するとともに、夜間の血糖を安定させる食事の工夫(寝る前のタンパク質摂取など)をお伝えします。
授業中にじっと座っていられない、常に手足を動かしている。あるいは逆に、不安が強く気持ちが不安定になりやすい。こうした症状は発達特性や性格の問題と捉えられがちですが、鉄不足や亜鉛不足、血糖値の乱高下が、脳の神経伝達物質(ドーパミン・セロトニン・GABA)のバランスを崩して引き起こしていることがあります。
「性格や発達の問題」と決めつける前に、まずは脳の働きを支える栄養素が足りているかを確認します。血液検査をもとに不足しているミネラルを補い、同時に腸内環境を整えることで、お子さんが自然と穏やかに過ごせる状態を目指します。
「宿題に何時間もかかる」「すぐに気が散る」「ケアレスミスが多い」——こうしたお悩みも、栄養状態と深く結びついています。脳の神経細胞がスムーズに働くためには、鉄やタンパク質、DHA・EPAといった良質な脂質が不可欠です。これらが不足すると、情報を処理する力(ワーキングメモリ)が低下してしまいます。
不足している栄養素をサプリメントで効率よく補いながら、朝ごはんでしっかりタンパク質を摂る工夫などをお伝えします。栄養が満たされると、お子さん本来の学ぶ力が引き出されてきます。
ちょっとしたことで癇癪を起こす、キレやすい、きょうだい喧嘩が絶えない。感情のコントロールの難しさには、血糖値の急上昇・急降下が関係していることが多くあります。お腹が空いたときや甘いものを食べた後にイライラが強くなるのは、血糖を維持するためにアドレナリンが過剰に分泌されるためです。
お菓子やジュースなど精製された糖質の摂り方を見直し、血糖値を安定させる食事指導を行います。また、マグネシウムやビタミンB6など、心の安定に関わる栄養素が不足していないかも確認し、必要に応じて補充します。
保育園で常に何かをもらってくる、熱を出しやすい、中耳炎を繰り返す——お子さんの免疫システムを正常に働かせるには、ビタミンD・亜鉛・ビタミンA・タンパク質が欠かせません。そして、免疫細胞の約7割は腸に存在しています。腸内環境の悪化は免疫力の低下に直結します。
血液検査で特に不足しがちなビタミンDの血中濃度などを確認し、必要な量を補充します。同時に、当院のもう一つの柱である便秘治療で腸内環境を整えることで、ウイルスに負けにくい体の土台をつくります。
「お肉を噛み切れずに出してしまう」「白米や麺類しか食べない」——
これは単なるわがままではなく、体からのサインです。鉄やタンパク質が不足すると胃腸の働きが弱まり、消化できないものを体が拒否していることがあります。また、味覚をつくる亜鉛が不足すると、特定の味や食感を極端に嫌がるようになります。
「無理に食べなさい」と叱るのは逆効果です。まずは消化の負担が少ない形でタンパク質や亜鉛を補充するところからスタートします。胃腸の粘膜が元気になり味覚が回復してくると、自然にお肉や野菜を食べられるようになっていきます。お腹の状態と栄養の両面から整えられることが、当院の強みです。
「同年代の子に比べて小柄」「たくさん食べているのに体重が増えない」——
成長にはカロリーだけでなく、タンパク質・ビタミンD・カルシウム・亜鉛といった材料がバランスよく揃っていることが必要です。
まず成長曲線を確認し、成長ホルモンの異常など病的な原因がないかを小児科医としてしっかり診断します。問題がない場合は、血液検査から「成長のための材料不足」を見つけ出し、食事の見直しとサプリメントでお子さんの持っている成長の力を最大限に引き出すサポートを行います。
思春期のニキビがなかなか治らない、アトピー性皮膚炎を繰り返す、円形脱毛で髪が抜けてしまう——
こうした皮膚や毛髪のトラブルは、外からの治療だけでは改善が難しいことがあります。
皮膚も髪も、体の中から作られるものです。タンパク質・亜鉛・鉄・ビタミンB群は、肌のターンオーバーや毛髪の成長に欠かせない材料です。また、腸内環境の乱れや慢性的な炎症が背景に隠れていることも少なくありません。
当院では、円形脱毛に対するエキシプレックス(エキシマライト)による光線治療に加え、栄養療法を併用することで回復を後押しするアプローチを行っています。外からの治療と内側からの栄養サポート、この両面からのアプローチが当院の特徴です。
皮膚のトラブルについては小児皮膚科、光線治療については紫外線療法外来のページもあわせてご覧ください。
「何科に相談していいかわからない」と悩むような不調こそ、栄養が関わっている可能性があります。当院では、お腹の専門家である小児外科専門医が、腸の状態と栄養の両面からお子さんの体の土台を整える診療を行っています。
お子さんだけでなく、保護者の方ご自身の不調——慢性的な疲労感、眠りの浅さ、集中力の低下——にも栄養不足が隠れていることは少なくありません。当院の栄養外来では、お子さんとご家族の栄養状態をあわせて確認し、ご家庭全体の健康を一緒に考えます。
詳しくは栄養外来のページをご覧ください。
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