本当の悩みに、共に向き合う
「なぜ、この子はなかなか良くならないのだろう」
長年の診療の中で、私はそう問い続けてきました。症状の表面だけを見ていては、本当のことは見えてこない。その子の生活習慣、食事、家族のこと、心の状態——目に見えない背景に、何か大切なことが隠れていることが多いのです。
だから私は、「正しい診断をつけて薬を出す」だけでなく、「本当の悩みの根っこを一緒に探す医師でありたい」と思っています。
本当の健康は、すぐには手に入りません。種を蒔き、土を耕し、水を与え続ける——農場の仕事と同じように、時間と根気がかかるものです。「もっと早く治してほしい」というお気持ちは、当然です。しかし私が長年の臨床で確信していることがあります。本当の意味で回復したお子さんには、必ずご家族の根気強さがあった。そして、クリニックとご家族の間に、信頼と協力と、喜びを共に分かち合う姿勢があった。
病気との向き合い方そのものが、その子の人生を育てます。我慢すること、諦めずに続けること、周りと協力すること——その過程に、本当の成長があると信じているからです。私たちは、その根気のいる道を、ご家族と一緒に歩むことをいとわないチームでありたいと思っています。
小児医療のルネサンス——本質に立ち返る医療へ
8年の歳月を経て、私の中に一つの確信が生まれました。
症状を抑えるだけの医療では、根本的な解決にはならない。
これは決して、今の医療を否定するものではありません。発熱、感染症、急性の痛み——そういった場面では、迅速に対処する西洋医学の力は絶対に必要です。しかし、それだけでは足りない場面がある。薬を飲めば症状は消えるが、また繰り返す。そういうお子さんたちと向き合い続けた中で、見えてきたことがあります。
「症状の裏に、必ず土台の問題がある」
腸の環境が整っていなければ、栄養は吸収されない。栄養が不足すれば、免疫も、集中力も、感情の安定も崩れていく。体の土台が揺らいでいれば、心の土台も揺れる。
私はこれを、「小児医療のルネサンス(本質への回帰)」と呼んでいます。人間が本来持っている生命力と回復力を取り戻すための医療です。
腸から始まる、体と心の土台づくり
私が目指す医療の順番があります。
まず、お腹の土台を整える。腸は「体の根っこ」です。小児外科専門医として腸の構造を解剖学的に熟知しているからこそ、「腸から栄養がどう吸収されるか」を根拠を持って語ることができます。しかも小児外科医の相手は成長途中の子どもです。今の治療がその後の成長にどう影響するかを常に考えながら判断する——その視点が、この専門性の土台にあります。
次に、体の栄養を整える。分子栄養学(オーソモレキュラー)に基づき、その子に本当に必要な栄養素を血液データから読み解き、細胞レベルから体を立て直す。ビタミン・ミネラル・タンパク質——見落とされがちな栄養の過不足が、発達・免疫・集中力に大きく影響しています。
そして最後に、心の栄養を整える。体の土台が安定すると、子どもは自然と落ち着き、前向きになっていきます。栄養が整うことで、心も変わる。そのことを、多くのご家族との診療を通じて実感してきました。
幼少期に作られる「腸→体→心」の土台。これが、人生100年時代を強く、たくましく、幸福に生きていくための基盤になると確信しています。
この「お腹の専門診療」と「栄養療法」の2つが、小森こどもクリニックの2大柱です。腸の手術を経験してきた外科医が、栄養を語る。この組み合わせは、日本の小児医療の中でもなかなかない私たちの強みです。
次の10年へ——全国に、本質的な医療を届ける
小森こどもクリニックは、これからも地域のかかりつけ医として発熱・感染症・予防接種・乳幼児健診に対応し続けます。困った時にすぐ相談できる場所であり続けることは、私たちの変わらない原点です。
2026年、クリニックはホームページを大幅にリニューアルします。これまでの国分寺・地域密着という枠を超え、「お腹」と「栄養」の2大軸を柱に、全国の悩めるお子さんとご家族に本質的な医療を届けていくためです。セカンドオピニオン外来を含め、地域にとらわれず必要な方に届く体制を整えています。
急性期の診療は変わらず続けます。しかし、これからの10年でクリニックとして最も力を注ぐのは、**「症状の背景にある土台の問題に向き合い、根本からお子さんの健康を支える医療チームをつくること」**です。便秘専門外来と栄養療法外来を両輪に、少数精鋭のチームで本物の医療を追求していきます。
ここで、一緒に咲こう
私のクリニックの合言葉があります。
「ここで、一緒に咲こう」
スタッフに向けた言葉です。しかし同時に、ここを訪れてくださるお子さんやご家族への思いでもあります。
お子さんにはそれぞれの個性と可能性があります。成長の速度も、必要な栄養も、向き合い方も、みんな違う。どこか別の場所に答えがあるのではなく、「今、ここ」で一緒に考え、動き、育っていける場所でありたい。
困ったことがあれば、気軽に声をかけてください。
あなたのお子さんの成長を、共に歩ませてください。