集中力が続かない・落ち着きがない子は鉄不足かも|脳の材料を小児外科医が解説|小児科|栄養外来・便秘専門外来なら小森こどもクリニック|根本治療に対応

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集中力が続かない・落ち着きがない子は鉄不足かも|脳の材料を小児外科医が解説

集中力が続かない・落ち着きがない子は鉄不足かも|脳の材料を小児外科医が解説|小児科|栄養外来・便秘専門外来なら小森こどもクリニック|根本治療に対応

2026年10月10日

集中力が続かない・落ち着きがない子は鉄不足かも|脳の材料を小児外科医が解説

「授業中、ずっとそわそわして、話を聞いていないと言われます」

「宿題を始めても、5分ももたずに手が止まってしまう」

「忘れ物が多くて、何度言っても直りません」

こうした姿が続くと、多くのご家族が「うちの子は集中力がない」「落ち着きがない子だ」と受けとめ、そして少しずつ「発達に問題があるのかもしれない」と、不安を抱えはじめます。

最初にお伝えしたいことがあります。

お子さんの脳は、いま、材料が足りていないだけかもしれません。

脳の働きは、性格や根性とは別のところで、その日その日の「体の状態」に、とても敏感に左右されています。まず確かめられることがあります。

性格より先に、脳の「材料」を見ています

落ち着きのなさや集中の続かなさは、その子の気質だと思われがちです。たしかに、気質の部分もあります。

ただ、その前に確かめておきたいことがあります。脳が働くための材料が、足りているかどうかです。

「栄養か、発達か」の二択ではありません。発達の特性があるお子さんもいますし、その評価が必要な場合は、栄養とは別にきちんと必要です。当院がお伝えしたいのは、その手前に、誰にでも確かめられる「体の土台」がある、ということです。

土台がぐらついたまま「集中しなさい」と言い続けても、変わりにくいものです。土台を整えてから、あらためて見えてくるものがあります。だから、まず土台から確かめます。

脳の「やる気」と「集中」は、材料でできています

やる気や集中を生み出しているのは、脳の中を流れる神経伝達物質という物質です。名前を挙げると、意欲を支える「ドーパミン」、集中を保つ「ノルアドレナリン」といったものです。

この物質には、原料があります。

・大もとの材料は、タンパク質です。神経伝達物質は、タンパク質を分解してできるアミノ酸から組み立てられます

・その組み立ての現場で、変換のスイッチを入れているのが、鉄とビタミンB群です

つまり、こういうことです。材料(タンパク質)があっても、それをやる気や集中に変えるスイッチ(鉄・B群)が足りなければ、脳はうまく働けません。

「ちゃんと食べているのに落ち着かない」というお子さんがいます。食べているのに足りないのではなく、食べたものを、脳が使える形に変換しきれていないことがあるのです。

鉄は、脳の「電気」をつくる材料です

ここで、鉄の話を少しだけ深くさせてください。集中力と鉄は、多くの方が思っている以上に、深くつながっています。

脳が働くにも、体を動かすにも、エネルギーが要ります。体のエネルギーはATPという形で、細胞の中の「発電所」でつくられます。そして、この発電所が動くための欠かせない材料が、鉄です。

大切なのは、ATPは、ためておけないということです。貯金しておいて後で使う、ということができません。だから、体は毎日、その日に使う分をつくり続けています。体の電気は、ためておけないのです。

鉄が足りないと、発電所の力が落ちます。すると、真っ先に影響を受けるのが、大量のエネルギーを使う脳です。ぼんやりする、続かない、すぐ疲れて集中が切れる——これは、根性の問題ではなく、脳の電力不足として起きています。

さらに鉄は、先ほどお話しした神経伝達物質をつくるスイッチそのものでもあります。エネルギーをつくる材料でもあり、やる気と集中を生むスイッチでもある。だから鉄が足りないと、元気も、やる気も、集中も、同時に落ちるのです。

ここで見逃されやすいことがあります。血液検査で「貧血はありません」と言われても、安心はできません。血液の中を流れている鉄が足りていても、体に蓄えている鉄(貯金にあたるもの)が、すでに底をついていることがあるからです。この「鉄の貯金」は、フェリチンという項目で確かめられます。貧血が出るより前の段階で、脳はもう電力不足を感じはじめています。

脳をつくる油——DHA・EPA

もうひとつ、脳にとって大切な材料があります。油です。

意外に思われるかもしれませんが、脳のおよそ6割は脂質(油)でできています。とくに、青魚に多く含まれるDHA・EPAという油は、脳の神経細胞の膜に組み込まれて、情報の伝達をなめらかにする役割をしています。

この油には特徴があります。使って消えていく栄養ではなく、膜に「組み込まれる」栄養だということです。少しずつでは、体の中で消費されて終わってしまい、脳の膜までは届きません。しっかり届いて、はじめて働きます。

ところが現代の食卓は、魚が減り、揚げ物や加工食品に使われる別の種類の油が増えました。この別の油が増えすぎると、DHA・EPAの働きを邪魔してしまいます。「魚を食べる回数が減ったな」と思い当たるご家庭では、脳にとって大切な油が、静かに足りなくなっているかもしれません。

甘いものと、そわそわ——血糖の波

集中の話で、もうひとつ見ておきたいのが、血糖の波です。

甘いジュースやお菓子、菓子パンを口にすると、血糖値が急に上がります。急に上がった血糖は、その後、急に下がります。この急降下のとき、体は「危ない」と判断して、アドレナリンというホルモンを出します。

アドレナリンは、本来は体を守るためのものですが、出ると、そわそわする、イライラする、じっとしていられないという状態を引き起こします。

「おやつのあと、決まって荒れる」「甘い飲み物をよく飲む」というお子さんでは、この血糖の波が、落ち着かなさの一因になっていることがあります。甘いものを完全にやめる必要はありません。ただ、波を穏やかにするだけで、そわそわが減るお子さんがいます。

こんなサインがあれば、疑ってみてください

診察室では、こういうところを確認しています。

・授業中や食事中に、じっと座っていられない

・宿題や遊びに、集中が続かない・すぐ飽きる

・忘れ物やなくし物が多い

・ぼんやりして、話が耳に入っていないように見える

・疲れやすい、朝の機嫌が悪い、起きるのがつらそう

・甘い飲み物・お菓子をよく口にする

・魚を食べる回数が少ない

・顔色がさえない、爪が割れやすい

疲れやすさや顔色が並ぶのを、不思議に思われるかもしれません。集中を支える鉄は、体全体のエネルギーを支える鉄でもあるからです。集中力の問題は、体の材料不足の、見えやすい窓のひとつなのです。

ひとつ、大切な線引きをお伝えします。

落ち着きのなさや集中の続かなさの原因は、栄養だけではありません。発達の特性があるお子さんもいますし、耳の聞こえや目の見えにくさ、睡眠の質、家庭や学校での不安など、背景はさまざまです。どれも、決めつける前に、確かめられることです。ひとつに絞る必要はありません。

とくに、それまでできていたことが急にできなくなった、体重が減ってきている、強い不安や眠れなさがあるというときは、栄養の話より先に、一度きちんと診させてください。

やっかいなのは、輪が閉じてしまうこと

ここに、材料不足の見つけにくさがあります。

集中できない → 叱られる・注意される → 自信をなくす → ますます落ち着かない。この輪だけでも、時間とともに深くなっていきます。

そこに、体の輪が重なります。甘いもので一時的に頭をすっきりさせようとする → 血糖の波が大きくなる → そわそわが増える → また甘いものがほしくなる。あるいは、鉄が足りない → 疲れやすい → 食が細くなる・肉や魚を避ける → 鉄がさらに足りなくなる。

輪が閉じてしまうと、時間だけでは抜け出しにくくなります。「そのうち落ち着くだろう」と待って、数年たってしまうご家族が多いのは、このためです。

どこかで、外から輪を切る必要があります。

ご家庭で、今日からできること

栄養外来でお伝えしている工夫です。難しいことではありません。「ひとつ足す」「ひとつ見直す」から始めてください。

朝に、タンパク質を「ひとつ足す」

脳の材料であるタンパク質は、ためておけません。とくに、一日の始まりの朝に届けておきたい栄養です。パンやおにぎりだけになりがちな朝に、卵・しらす・チーズ・ヨーグルト・豆腐を、ひとつ足す。それだけで、午前中の集中の支えが変わってきます。

甘い飲み物を、見直す

血糖の波をいちばん大きくするのが、甘い飲み物です。ジュースや乳酸菌飲料、スポーツドリンクを、水やお茶に置き換える。ゼロにする必要はありません。毎日のものを、週の何日かに。それだけでも、そわそわは変わります。

魚を、少しだけ増やす

脳の油であるDHA・EPAは、青魚に多く含まれます。しらす、さば缶、鮭など、手軽なもので十分です。そして、脂を落とさないでください。「ヘルシーに」と油を避けると、脳の材料まで減ってしまいます。育ち盛りの子どもに、油は必要な栄養です。

栄養と生活は、同時に、少しずつ

睡眠が足りないと、栄養がうまく使われません。逆に、栄養が足りないと、眠りの質も上がりません。どちらかを完璧にしてから、ではなく、両方を、できる範囲で同時に。寝る時間を30分早める、休みの日は外で体を動かす。完璧を目指さず、今日できることをひとつ。その積み重ねが、土台を育てます。

血液検査で、脳の「材料不足」を確かめる

ご家庭の工夫と並んで、当院が大切にしているのが、推測ではなく、確かめることです。

集中できない、落ち着かないというご相談で、まず確かめられることがあります。

今の症状が、体のどこから来ているのか。それは、血液検査で調べられます。発達の評価が必要かどうかは、栄養とは別に、きちんと判断します。そのうえで、脳の材料——鉄の貯金(フェリチン)、タンパク質が体の材料になっているか、エネルギーをつくれているか——を、血液の検査で見ていきます。

ここには、二つの視点があります。ひとつは、医師の視点。症状から、調べる範囲を決めます。もうひとつは、ご家族の視点。体の土台を、もう少し広く見ておきたいという希望に合わせて、範囲を広げることもできます。

ひとつ、大切なことをお伝えします。血液検査の一つひとつの数字は、それだけでは読みきれません。鉄も、タンパク質も、他の数字と並べて、はじめて意味が見えてきます。だから当院では、いくつかの項目を合わせて読みます。

そして、もし調べるなら、食事やサプリメントを始める前がいちばん役に立ちます。あとからだと、比べるもとがなくなってしまうからです。

栄養の役目は、土台を上げることです

お伝えしておきたいことがあります。

材料を整えることで、集中が続くようになる、朝の機嫌がよくなる、宿題に向かえるようになるお子さんを、当院では何人も見てきました。土台が変わると、行動も変わります。

ただ、栄養は万能ではありません。

生まれ持った感覚の特性、これまでの経験、家庭や学校の環境。こうしたものまで、栄養だけですべてが変わるわけではありません。発達の評価やサポートが必要なお子さんには、それが必要です。「栄養で治ります」と言ってしまうのは、誠実ではないと考えています。

当院がしているのは、土台を上げることです。土台が整えば、その子が本来もっている力を、発揮しやすくなります。そこから先は、本人と、周りの支えと、時間の仕事です。

どれくらいで変わるのか

材料が届いてから、変化が見えるまでには、時間がかかります。鉄の貯金が満ちて、脳の油が膜に組み込まれるには、数週間から、数か月を見てください。

変化は、劇的には来ません。よくあるのは、こういう気づき方です。

「そういえば最近、宿題を最後までやれる日がある」

「朝、前より機嫌よく起きてくる」

本人は「集中できるようになった」とは言いません。気づいたら、続けられていた。そういう変わり方をします。だからこそ、ご家族が小さな変化に気づいてあげてください。

受診されたら、何をするのか

はじめて栄養外来にお越しいただいた日は、こんな流れになります。

・問診:どんなときに集中が切れるか、食事の様子、甘いものの量、睡眠、朝の様子までを一通りうかがいます

・診察:全身の状態と、お腹を診ます

・血液検査:鉄の貯金(フェリチン)、タンパク質が体の材料になっているか、エネルギーをつくれているかを合わせて読みます

・方針決め:結果を見ながら、食事の工夫とサプリメントを、ご家庭で続けられる形に組み立てます

一度にすべてを変えることはしません。どこから始めるかを、ご家族と一緒に決めます。

鉄やDHAのサプリメントは、自己判断で始めないでください。とくに鉄は、多すぎても体の負担になることがあり、量とタイミングに工夫が要ります。ここは検査を見ながら、医師と一緒に決めるところです。

来院前に、見ておいていただけると助かること

・どんなときに集中が切れるか(朝/午後/宿題のとき/特定の場面)

・甘い飲み物・お菓子を、一日にどれくらい口にするか

・魚を食べる回数

・朝の起きにくさ、日中の疲れやすさ、顔色や爪の様子

・学校で言われていること(連絡帳や面談のメモがあれば)

・他院での血液検査の結果があれば、そのコピー

・お薬手帳

メモしておいていただけると、初診の時間を「その子固有の話」に使えます。

「うちの子はどうだろう」と思われたら

まずお伝えしたいのは、自己判断で鉄やDHAのサプリメントを始めないでいただきたいということです。かかりつけの先生と相談しながら進めてください。

そのうえで、今の相談で手応えが出ないときは、一人で抱え込まずに、栄養を専門に診ている医師に相談することも、大切な選択肢だと思っています。「落ち着きは成長とともに」と言われ続けて数年が過ぎてしまうことは、実際によくあります。

集中できないことを叱る毎日は、ご家族もお子さんも消耗します。もし思い当たるサインがあれば、一度、脳の材料から確かめてみてください。

お子さんのせいでも、ご家族のせいでもありません。確かめれば、打つ手がある状態です。

合わせて読みたい関連記事

「脳と心の元気」は、集中のほかにもいろいろな形で現れます。お子さんの様子に近いものから読んでみてください。

・子どもの激しい癇癪・キレやすさは栄養で変わる?血糖・鉄・亜鉛から読み解く(感情の爆発)

・【医師監修】朝起きられない・すぐ疲れるのは鉄不足?フェリチン(貯蔵鉄)と隠れ貧血の正体(朝の不調・鉄)

・子どもが甘いものをやめられないのは糖質依存と鉄欠乏かも(甘いもの・血糖の波)

まとめ

・「集中できない」「落ち着かない」は、性格や根性の問題とは限りません。脳の材料が足りていないサインかもしれません

・やる気と集中を生む神経伝達物質の材料は、タンパク質。それを使える形に変えるスイッチが、鉄とビタミンB群です

・ATP(体の電気)は、ためておけません。毎日つくり続ける材料が鉄です。鉄が足りないと、元気・やる気・集中が同時に落ちます

・血液検査で「貧血はありません」でも安心はできません。鉄の貯金(フェリチン)は、貧血が出る前に底をつきます

・脳のおよそ6割は油。DHA・EPAは脳の膜に組み込まれる材料で、少量では届きません。魚の減った食卓では静かに不足します

・甘い飲み物による血糖の波は、アドレナリンを介して、そわそわ・イライラを生みます

・ご家庭では、朝にタンパク質をひとつ足す/甘い飲み物を見直す/魚を少し増やす/脂を落とさない/睡眠と一緒に少しずつ

・原因は栄養だけではありません。発達の評価が必要な子には必要です。栄養は、その土台を整えます。急な変化や体重減のときは、先に診察で確かめます

・変化は数週間〜数か月。「気づいたら続けられていた」という形でやってきます

「集中できない」という一つの言葉の裏に、脳の電力、脳の材料、脳の油、血糖の波という、別々の入口があります。どこが足りていないかが分かれば、打つ手の順番が決まります。

材料が満ちてくれば、脳は、その子本来の力を出しはじめます。

今日から、ひとつだけ

本文でいくつかお伝えしましたが、全部を一度にやる必要はありません。まず今日は、朝ごはんにタンパク質をひとつ足す——卵、しらす、チーズ、ヨーグルト、豆腐のどれかを、いつものパンやおにぎりに添える。それだけで、午前中の集中を支える材料が変わってきます。

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「うちの子はどうだろう」と確かめてみたい方へ

「集中力がない」「落ち着きがない」と言われてきたお子さんで、詳しい血液検査をしてみると鉄が足りていなかった、というケースを当院では多く経験しています。集中や落ち着きの背景に栄養があるかどうかは、血液検査で確かめられます。当院の子どもの栄養外来(分子栄養学外来)では、集中の様子・食べ方・睡眠・便の様子までうかがったうえで、検査をもとにお子さん一人ひとりに合わせて組み立てていきます。

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小児外科医 小森広嗣🩺栄養×お腹 @KomoriKodomoCL

この記事の執筆・監修者

小森こどもクリニック 院長 小森 広嗣(こもり こうじ)

小児外科専門医・指導医、医学博士。慶應義塾大学医学部卒業後、東京都立小児総合医療センター外科医長などを経て、小森こどもクリニックを開院。小児外科の出身として、いまは地域の中で、お腹と栄養の外来を深く追求している。

「成長の感動や喜びをお子さん・ご家族と分かち合い、楽しく安心して子育てができる社会を創る」ことを自身のビジョンとし、診療と情報発信の両輪で活動している。

▶ 著書:『うんちが出ない!』(英智舎・2026年12月9日発売)

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