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【ダニから始める】子どもの舌下免疫療法|つらい鼻炎の根本治療

1. はじめに:ティッシュが手放せない…そのつらい鼻炎、いつまで続けますか?

 

朝、起きた瞬間から始まるくしゃみの連発。集中したいのに、鼻が詰まってぼーっとしてしまう。夜、鼻がつらくて何度も目が覚める…。

 

お子さんのそんな姿を見るたびに、多くの保護者の方が心を痛めていることと思います。「また鼻をすすっているな」「薬を飲ませないと…」と、ティッシュの消費量とともにため息が増えてしまう。そんな毎日を送ってはいませんか?

 

抗アレルギー薬を飲めば、その場の症状は確かに楽になります。しかし、それはあくまで一時的な対処であり、薬が切れればまた同じ症状の繰り返しです。

 

「この生活が、いったいいつまで続くのだろう?」

 

もし、そのつらいアレルギー症状の「根本」にアプローチできる治療法があるとしたら、知りたいと思いませんか?

 

今回は、お子さんの未来の体質を変える可能性を秘めた「舌下免疫療法」について、特に今だからこそお伝えしたい大切な情報をお届けします。

 

2. 【重要なお知らせ】スギ花粉症の舌下免疫療法(シダキュア®)をご希望の方へ

 

はじめに、大切なお知らせがございます。

例年、多くの患者様にご希望いただくスギ花粉症に対する舌下免疫療法のお薬(シダキュア®)ですが、2025年7月現在、製薬会社の供給制限が全国的に続いており、新規での治療開始ができない状況です。

 

ただし、当院では、一度ご受診いただき、医師が治療の適応があると判断した方につきましては、お薬の供給が再開され次第スムーズに治療を開始できるよう「待機リスト」にてお待ちいただくことが可能です。

 

治療の開始をお待たせしてしまうことになり大変心苦しいのですが、ご希望の方は、まずは当院にご相談ください。

 

そして、スギ花粉症の治療がすぐに始められないからといって、アレルギー性鼻炎の治療そのものをあきらめる必要は全くありません。むしろ、今だからこそ、じっくりと考えていただきたい治療があります。それが、次にお話しする「ダニ」を原因とするアレルギー性鼻炎の治療です。

 

3. “一年中”の悩みに、今こそ。「ダニ」の舌下免疫療法を始める絶好の機会です

 

スギ花粉の時期はもちろんですが、それ以外の季節でも、お子さんの鼻の調子はいかがでしょうか?

 

「そういえば、季節に関係なく、一年中鼻炎症状があるかも…」

 

そう感じたなら、その原因は「ハウスダスト」、特にその主成分である「ダニ」かもしれません。アレルギー性鼻炎に悩むお子さんを検査してみると、スギだけでなくダニにも陽性反応が出るケースは非常に多く見られます。

 

このダニアレルギーに対する舌下免疫療法には、大きなメリットが2つあります。

 

1. 一年中、いつでも治療を開始できること
2. 一年中続くつらい症状の改善が期待できること

 

スギ花粉症の舌下免疫療法は、花粉が飛んでいない時期(6月~12月頃)にしか開始できません。しかし、ダニの治療は季節を問いません。つまり、「治したい」と思ったその時から、治療のスタートラインに立つことができるのです。

 

スギ花粉症の治療再開を待っている間にも、まずはお子さんを一年中悩ませているダニアレルギーの治療を始める。これは、お子さんの日々の生活の質を改善するために、非常に合理的で価値のある選択だと、私たちは考えています。

 

4. そもそも「舌下免疫療法」とは?アレルギーの“火元”を消す唯一の治療

 

ここで改めて、「舌下免疫療法」がどのような治療かをご説明します。

 

これまでのアレルギー治療を「火事」に例えてみましょう。くしゃみ、鼻水、目のかゆみといったアレルギー症状が「煙」だとすれば、抗アレルギー薬を飲むことは、その「煙」を一時的にうちわで扇いで追い払うようなものです。これを「対症療法」と呼びます。

 

一方、舌下免疫療法は、アレルギー反応を引き起こす体質そのものである「火元」を、時間をかけてゆっくりと鎮火させていくアプローチです。アレルギー治療の中で、唯一「根治(こんち)」、つまり完全に治る可能性が期待できる治療法と言えます。

 

具体的には、アレルギーの原因物質(アレルゲン)であるダニのエキスを含んだ錠剤を、毎日1回、舌の下に置いて溶かします。これを長期間(3~5年)続けることで、体をアレルゲンに少しずつ慣れさせ、アレルギー反応そのものが起きにくい体質へと変えていくことを目指すのです。

 

5. 舌下免疫療法の気になるギモン Q&A

 

「根本から治せる可能性があるのは魅力的だけど、実際はどうなの?」という疑問に、Q&A形式でお答えします。

 

Q1. 本当に効果はあるのでしょうか?

 

はい、多くの方に効果が期待できます。治療薬の臨床試験データでは、約8割の方に症状の改善が見られ、そのうちの約2割の方は症状がほとんどなくなり、薬も不要な「根治」の状態になったと報告されています。残念ながら2割の方には効果が見られませんでしたが、多くのお子さんで「薬の量が減った」「症状がかなり楽になった」という効果が期待できると言えるでしょう。

 

Q2. うちの子は何歳から始められますか?

 

ダニ、スギともに5歳から開始することができます。

この治療で最も大切なのは、「毎日、自分で薬を舌の下に保持する」という行為を続けることです。そのため、治療の必要性を理解し、「治したい」というご本人の前向きな気持ちと、ご家族のサポートがあることが、治療開始の重要な条件となります。

 

Q3. 治療は大変?どのくらいの期間がかかりますか?

 

治療期間は3〜5年が推奨されており、毎日1回の服用が必要です。正直にお伝えすると、親子ともに根気のいる治療です。

 

外来ではよく「そんなに長く続けられるか心配です」というお声をいただきます。そのお気持ちは、非常によく分かります。だからこそ、私たちクリニックの役割は、ただ薬を処方するだけではありません。定期的な通院でお子さんの頑張りを認め、励まし、保護者の皆様の不安に耳を傾けながら、ゴールまで一緒に走り続ける「伴走者」であるべきだと考えています。

 

Q4. 副作用が心配です…

 

アレルギーの原因物質を体内に入れるため、アレルギー反応が副作用として現れる可能性があります。

最も多いのは、口の中のかゆみ、イガイガ感、腫れ、口内炎といった局所的な症状です。多くは治療開始後の早い時期に見られますが、ほとんどが軽微で、治療を続けるうちに自然と軽快していきます。

 

まれではありますが、全身のじんましん、腹痛、ぜんそく発作、そして最も重篤なアナフィラキシーショックの可能性もゼロではありません。

 

そのため、当院では初回のお薬は必ず院内で服用していただき、クリニック内で様子を見ることで、安全に治療をスタートできる体制を整えていますのでご安心ください。

 

また、気管支喘息の症状がコントロールできていない状態でこの治療を始めると、喘息を悪化させる可能性があります。まずは喘息の治療を優先し、症状が安定してから開始することが重要です。

 

Q5. 費用はどのくらいかかりますか?

 

舌下免疫療法は保険診療です。お子さんの場合、お住まいの自治体の「子ども医療費助成」の対象となりますので、窓口でのご負担は助成制度に準じます。(自治体により助成内容が異なりますので、詳しくはお尋ねください。)

 

6. なぜ「子どものうち」に始めるのが良いのでしょうか?

 

アレルギーは、ただ不快なだけでなく、お子さんの大切な成長期における「見えない足かせ」になることがあります。

 

✔️集中力の低下:授業中や宿題の最中に鼻をぐずぐずさせていては、勉強に身が入りません。
✔️睡眠の質の低下:鼻づまりで夜中に何度も起きると、成長に欠かせない深い睡眠が妨げられます。
✔️体力の消耗:絶え間ないアレルギー反応は、本人が意識しなくても確実に体力を奪っていきます。

 

将来、お子さんが受験や部活の大会、大切な試験といった人生の重要な局面を迎える時、万全のコンディションで臨ませてあげたい。そう願うのが親心ではないでしょうか。

 

医学的にも、免疫システムがまだ発達の途中にある若いうちに治療を始めた方が、体が変化しやすく、より高い治療効果が期待できると考えられています。

 

7. 小森こどもクリニックでの治療の流れ

 

もし、少しでもご興味を持たれましたら、まずは一度ご相談ください。

 

1. 初診・ご相談

まずはお話を伺い、アレルギーの原因を特定するための血液検査などを行います。「うちの子は適応になるの?」といったご質問だけでも結構です。

2. 検査結果のご説明と治療方針の決定

検査結果をもとに、舌下免疫療法が適切かどうかを判断し、治療のメリット・デメリットを詳しくご説明した上で、ご家庭での治療の意思を最終確認します。

3. 治療開始

治療を決心されたら、いよいよスタートです。前述の通り、初回のお薬は院内で服用し、安全を確認します。

4. その後の通院

その後は月に1回程度ご来院いただき、副作用の有無や症状の変化を確認しながら、治療を継続していきます。

 

ご予約はこちらから

 

8. おわりに:10年後の「楽になったよ」のために。未来へつながる“土台づくり”を、今

 

【ダニから始める】子どもの舌下免疫療法|つらい鼻炎の根本治療

 

3年、あるいは5年という治療期間は、確かに短くはありません。毎日の服薬は、お子さんにとっても、サポートする保護者の皆様にとっても、簡単なことではないでしょう。

 

しかし、その道のりを乗り越えた先にある、アレルギー症状に悩まされることのない快適な毎日を想像してみてください。朝、すっきりと目覚められること。勉強やスポーツに思い切り集中できること。ティッシュを手放し、マスクなしで深呼吸できること。

 

私たちは、この舌下免疫療法という治療を、お子さんの健やかな未来を築くための大切な『土台づくり』だと考えています。

 

10年後、20年後に、大人になったお子さん自身が「あの時、治療を頑張って本当によかった」と思ってくれること。それこそが、私たち医療者と親御さんとの共通の願いではないでしょうか。

 

親子二人三脚で歩む長い道のりを、私たち小森こどもクリニックが「伴走者」として支えていきます。つらいアレルギー症状からの解放という、未来への価値ある選択を、ぜひ一緒に考えていきましょう。

院長 小森 広嗣
記事監修
院長 小森 広嗣
(こもり こうじ)

慶應義塾大学医学部卒業
小児外科学会専門医、小児外科指導医、医学博士

小森こどもクリニックでは、成長の感動や喜びをお子さん ご家族と分かち合い、楽しく安心して子育ができる社会を創ることをビジョンに活動しています。

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