肛門周囲膿瘍(こうもんしゅういのうよう)とは
🔹どんな病気でしょうか?
肛門の周囲が化膿して、赤く腫れあがる病気です。
大部分がおむつを当てている赤ちゃんで、特に下痢やうんちの回数が多い赤ちゃんに多い病気です。
1歳以下で、男児に圧倒的に多く(9割以上)見られます。生まれたばかりで、ばい菌に対する抵抗力が弱いためと考えられています。
🔹ばい菌は、主に2つのルートからお尻に入り込みます。
ルート①
おむつかぶれでついたおしり周りの小さな傷(ルート①)から侵入する
ルート②
肛門の入口から少し奥の肛門腺(こうもんせん)(ルート②)から菌が侵入する
初めはしこりができて赤く腫れてきます。
やがて中に膿がたまってブョブヨしてきます。
しこりは1個が多いですが、同時に数個 できることもあります。
(3時、6時、9時方向が好発部位です)
🔹どんな症状ですか?
赤ちゃんは痛みのため不機嫌になり、おしりをさわられると泣いたり、ウンチをするのをいやがったりします。
肛門の周りが真っ赤に腫れ上がり、場合によっては自然に膿(うみ)が出てくることもあります。
🔹どうやって治療をするのでしょうか?
自然に膿(うみ)が出てきた場合には、引き続き膿(うみ)が出やすい状況を作ることです。
そのために、局所の圧迫や入浴洗浄を続けながら膿(うみ)の排出を根気よく続けることが必要です。
膿(うみ)が深く、お尻が腫れがひどくなる一方の場合には、切開をして膿(うみ)を出します。小児外科医にご相談ください。
切開した孔(あな)が閉じてしまうと、再び膿がたまってしまうので、
閉じてしまわないよう、膿を出しつづける処置も継続します。
でも、穴が閉じてしまうことはあります。
穴は閉じてしまっても、心配ありません。その都度、切開・排膿の処置を繰り返して治療してきます。
治りが悪い場合には、お尻に細いチューブを入れて膿が出しやすくする治療を選択する場合もあります。
また抗生剤、塗り薬を使う方法もありますが、どちらも特効薬とはいえません。
結局は根気よく膿を出す処置を行うことが一番大事です。
🔹繰り返すことも多い病気ですが、根気よく治療をすることが大切です
中々治らないと感じ、不安になってしまうものですが、根気よく治療を続けることが大事です。
治療を頑張って続けていくことで、1歳くらいまでには軽快、完治する場合がほとんどです。
🔹お家でできることは?
家庭では、膿がたまらないように、毎日患部をよくマッサージをして、膿を出すようにしてきます。
おしりを清潔にしておくことも大事で、こまめにおむつをかえていきましょう。
🔹ちゃんと治るのでしょうか?
免疫がしっかりしてくる6ヵ月から1歳までに軽快・完治することがほとんどです。
再発を繰り返す場合でも、2歳頃までには自然に治癒することがほとんどです。
🔹どうしても治りが悪い場合は?
例外として、この時期を越えて再発を繰り返し、治りが悪い場合には瘻孔(トンネル)ができてしまっている場合があり、これを、「痔瘻(じろう)」といいます。
どうしても治らない場合には、外科的に瘻孔切開術を行います。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
小森 広嗣
小森こどもクリニック院長
日本小児外科学会 小児外科専門医
【医院名】小森こどもクリニック
【住所】〒185-0011
東京都国分寺市本多2-3-3国分寺市商工会館4F
【電話番号】042-322-5585
【診療日・時間】
月~金9:00~12:00/14:00~18:00
土 9:00~13:00
【休診日】水・日・祝日
【予約サイト】WEB予約
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
慶應義塾大学医学部卒業
小児外科学会専門医、小児外科指導医、医学博士
小森こどもクリニックでは、成長の感動や喜びをお子さん ご家族と分かち合い、楽しく安心して子育ができる社会を創ることをビジョンに活動しています。