2017年10月16日

「毎日は出ていないけれど、本人は困っていないみたい」「2日に1回なら、様子を見ていていいの?」。便秘外来では、こうしたご相談をよくいただきます。
便秘かどうかを、排便の回数で考える方は多いと思います。ただ、回数には個人差が大きく、はっきりした線があるわけでもありません。「治療が必要な便秘かどうか」は、回数だけでは決められないのです。
大切な物差しは、「直腸の太さ」
そこで当院が重視しているのが、直腸の太さです。治療をするかどうかは、排便の様子や生活も含めた全体像で判断しますが、直腸の太さは、その中でも欠かせない物差しの一つです。
うんちは、直腸にいったん溜めておき、タイミングが来たら外に出します。溜めている時間が長くなるほど、直腸は内側から押し広げられて、太くなっていきます。
溜めすぎると、直腸はゴム風船のように伸びてしまう
ゴム風船をふくらませ続けると、ゴムが伸びきって、元の形に戻りにくくなります。直腸も同じです。うんちを溜めることをくり返すと、直腸は慢性的にふくらんだ状態になり、次の2つの力が弱くなっていきます。
・ 縮む力:うんちが来ても、ぎゅっと縮んで押し出すことができなくなる
・ 感じる力:うんちが溜まっているのに、「出したい」というサイン(便意)を感じにくくなる
感じる力が弱くなると、本人は溜まっていても気づきません。「困っていないように見える」ことが、実は進んでいるサインであることもあるのです。
回数よりも、その子の直腸がどうなっているか
目安として、便秘外来では「理想は毎日、2日に1回はよしとして、3日出ないのは注意しましょう」とお伝えしています。毎日出ていれば、直腸がふくらむ前に出せていることが多いからです。
ただ、実際の診察では、こんなことも起きます。
・ 3日に1回でも、直腸がスリムに保たれていれば、それはその子に合ったリズムです
・ 2日に1回でも、直腸がいつも太い状態なら、この先、慢性の便秘へ進んでいくおそれがあります
同じ回数でも、直腸の状態によって意味がまったく変わる。だからこそ、回数だけで安心も心配もしないことが大切です。
直腸の太さは、エコーで確かめられます
直腸の太さは、お腹の上から当てるエコー検査(必要に応じてレントゲン検査)で確かめます。痛みはなく、その場で画面を一緒に見ることができます。
「ここに、これだけ溜まっているね」「今日は空っぽ、しっかり出せているよ」。目で見て確かめることで、お子さんもご家族も、体の中で起きていることを実感できます。気づくことそのものが、治療の第一歩になるのです。
確かめたほうがよいかどうかの目安は、回数ではなく3S(すんなり・しっかり・すっきり)です。1日おきでも3日に1回でも、3Sで出せていれば、それがその子のリズムです。反対に、毎日でも1日おきでも、なかなか出ない・量が少ない・すっきりしない様子があれば、日常生活に困っていなくても、一度、直腸の状態を確かめておくと安心です。
そして、4〜5日以上あいてしまい、お腹が苦しい・張る・食欲が落ちるといった様子が出てきたら、治療を考えるタイミングです。
太くなり始めていたら — 早めの練習で、スリムな直腸へ
いったん伸びてしまった直腸が、スリムな状態(縮む力と感じる力が戻った状態)を取り戻すには、時間がかかります。この状態が、慢性の便秘です。
だからこそ、直腸が太くなり始めていたら、少しでも早く排便の練習を始めたいと考えています。練習は、浣腸によるトレーニングが基本です。毎日決まった時間に出し切ることをくり返し、これ以上ふくらませないようにしながら、時間をかけて直腸をスリムな状態へ戻していきます。
子どもには、大人にはない伸びしろがあります。伸びきった直腸も、コツコツ練習を重ねれば、ゆっくりと引き締まり、出す力は育っていきます。練習のゴールは、直腸をスリムに戻して、縮む力と感じる力を取り戻すこと。そして最後は、排便のことで困らない毎日です。焦らず、一緒に進んでいきましょう。
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「うちの子はどうだろう」と確かめてみたい方へ
「毎日は出ていないけれど、困ってはいない」「直腸が太くなっていないか気になる」ときは、お一人で抱え込まずにご相談ください。当院の便秘外来では、小児外科専門医が、いまの排便の様子とこれまでの経過をうかがい、必要に応じて検査で直腸の状態を確かめながら、治療が必要かどうかと、これからの見通しを一緒に考えます。遠方の方の受診の窓口も、下のページにまとめています。
ご予約は、当院ホームページの予約システム(デジスマ診療アプリ)から承っています。
すでに通院中の方へ:伸びた直腸がスリムに戻るまでには、時間がかかります。日々の排便の様子を、次の診察でお聞かせください。
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小児外科医 小森広嗣🩺栄養×お腹 @KomoriKodomoCL
この記事の執筆・監修者
小森こどもクリニック 院長 小森 広嗣(こもり こうじ)
小児外科専門医・指導医、医学博士。慶應義塾大学医学部卒業後、東京都立小児総合医療センター外科医長などを経て、小森こどもクリニックを開院。小児外科の出身として、いまは地域の中で、お腹と栄養の外来を深く追求している。
「成長の感動や喜びをお子さん・ご家族と分かち合い、楽しく安心して子育てができる社会を創る」ことを自身のビジョンとし、診療と情報発信の両輪で活動している。
▶ 著書:『うんちが出ない!』(英智舎・2026年12月9日発売)
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