・熱の高さと病気の重さは必ずしも関係ありません。
・高熱だけが原因で脳の障害はおきません。
・幼児では39度以上の発熱は珍しいことではありません。
・脳の障害の原因となる髄膜炎や脳炎は、何度も吐く、ぐったりして反応が悪い(目線が合わない)などの症状を伴います。
・子どもの発熱の原因のほとんどは感染症です。
2〜3日熱が続き(夏風邪などでは7〜10日くらい続くこともあります)自然に下がることがほとんどです。
熱は体の免疫の反応で、高熱を出して病原体(ウイルス)と戦っています。そのため急いで熱を下げる必要はありません。
高い熱が続くと心配になってしまいますが、大事なことはウイルス診断ではなく、熱の状態の把握です。
次の「発熱時の小児科受診の目安は?」で受診の目安を記載していますので参考にしていただき、急がず、慌てず、しっかり対応して参りましょう!
🔹夜間でも小児科受診の必要があるもの(緊急!!)
・生後3ヶ月未満児で38度以上の発熱がある
・元気がない、ぐったりして顔色が悪い
・呼びかけてもぼんやりしている(眠ってばかりいる)
・哺乳力が低下している
・水分がとれず、半日以上尿がでない
・初めて「けいれん」した
🔹朝まで待って小児科受診でよいもの(診療時間内に受診)
・生後3ヶ月以上経過していて、38度を超える発熱であっても哺乳力はいつも通りの場合は、日中の受診まで待っても大丈夫です。
・熱が出ても、比較的元気(遊べている、視線がしっかり合う)、水分も取れるようなら、夜間や休日に緊急受診する必要はありません。
・元気でも発熱が3〜4日以上続いている。
活気もあり自宅で様子をみていてもなかなか熱が下がらない場合には一度受診をしてください。小児科としては、全身状態、呼吸状態のチェック、また川崎病など入院治療が必要な熱の病気が隠れている場合がありますので、熱が続く場合には3、4日おきに、全身状態のチェックや経過を見ていきます。
・安静にする
元気がないときは無理をさせず、ゆっくり休ませてあげましょう。
クリニック受診の目安(上記)を参考にしていただき、自宅で安静、療養をすることも無理して病院を受診するよりもよい場合もあります。
・水枕などで冷やす
首や脇の下、足の付け根をひやしてあげるとよいです。
あくまで「熱でつらい」をとってあげることが目的です。本人が「楽そう」「楽になる」という場合に行ってあげましょう。(お子さんが嫌がるときは無理に冷やす必要はありません。)
・部屋の温度・湿度の調整をこまめにしましょう
熱の出はじめは、寒気がして震えるので保温をし、熱が下がり始めると手足が熱く、顔も真っ赤になり、汗が出はじめてきたら、薄着にしてあげるとよいでしょう。
鼻やのどが乾燥をしないようにしましょう。暑がっている時は低めに、寒い時はすこし暖かめを維持できるとよいです。
熱が低めで、手足が冷たいときは、靴下やおくるみなどで保温をしましょう。
・汗をかいたらこまめに着替えをしましょう
暑すぎず、寒すぎないように着るものを調整しましょう。
・元気があれば、ぬるめのお湯で短時間の入浴は可能です。
・解熱剤には病気を治す効果はありません。
・解熱剤にけいれんの予防効果はありません。
一時的に(約4、5時間)熱を下げることで本人を楽にしてあげることが目的です。
熱で、水分がとれない、寝付けない場合に使用してあげるとよいです。そして、回復を待ちましょう。
・病院がどうしても受診できなくて、急を要する様子(上記でお伝えしている内容参照ください)がなければ、解熱剤を使用して自宅で様子を見ることも可能です。
病院で処方されたもの(一般的にはアセトアミノフェン製剤(カロナール、アンヒバ座薬、アルピニー座薬)が安全)か、薬局で購入するときには「アセトアミノフェン製剤」と薬剤師に伝えて入手してください。
・水分補給をこまめにしましょう。
体調が悪い時は、消化機能も低下し、食欲も落ちるものです。
無理せずに、消化の良いものを、少しずつ摂取させてあげましょう。
最低限の水分補給ができており、脱水にならないよう注意して見ていければ、しばらくは無理して食事はとらせようとしなくても大丈夫です。むしろ消化が悪くなっているのでいつも通り食べると吐く子が多いので、少なめを意識しましょう。
✅乳児の場合
母乳や人工乳を続けましょう。ミルクが飲めていたら安心です。オムツがそれなりに濡れていたらなお安心です。
✅幼児から小学生
イオン飲料(OS-1)や経口補水剤(ソリタ水)など、水分を取らせていきましょう。
一時的であればお茶、お水、スポーツ飲料でも代用は問題ありません。
食欲がないときは、水分補給をかねて、アイスクリームやプリンなどを食べさせるとよいです。食欲が出てきたら、エネルギー源である炭水化物や消化のよいタンパク質、ビタミン、ミネラルも摂取をしてきましょう。具体的には、りんごのすりおろし、卵豆腐、野菜雑炊、煮込みうどん、白味魚やささみのポトフなどがおすすめです。1週間くらいはあまりたべない、偏食でも大きく問題になることはないものです。
慶應義塾大学医学部卒業
小児外科学会専門医、小児外科指導医、医学博士
小森こどもクリニックでは、成長の感動や喜びをお子さん ご家族と分かち合い、楽しく安心して子育ができる社会を創ることをビジョンに活動しています。