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【医師解説】ビタミンDサプリは危険?小児科学会の報告と当院の安全管理体制

 

「ビタミンDのサプリで子どもが入院したというニュースを見たのですが、うちの子は大丈夫でしょうか?」

 

最近、このようなご質問を複数の保護者の方からいただいています。

 

2026年3月、日本小児科学会がビタミンDサプリメントによる健康被害の事例報告(傷害速報)を公表しました。7歳のお子さんがサプリメントの摂取により高カルシウム血症を発症し、25日間の入院となった事例です。

 

お子さんにサプリメントを飲ませている保護者の方が不安を感じるのは、とても自然なことです。

 

今日は、この報告を正しく理解した上で、当院の栄養療法の安全管理体制がどのようになっているのかをお伝えします。

 

栄養外来とビタミンD

 

1. 何が起きたのか — 事実の整理

 

報告された事例のポイントを整理します。

 

お子さんの状況:
・ 7歳10か月の男の子(体重14.7 kg — 同年齢の標準体重の約6割)
・ 販売会社が主催するイベントでサプリメントを購入
医師の管理なしに、ご両親の判断で約6か月間にわたり毎日摂取
・ その間、血液検査は一度も行われず
・ 嘔吐や食欲不振などの症状が出始めてから受診するまで約2か月

 

結果:
・ 血清カルシウム値が基準値の約1.6倍に上昇(高カルシウム血症)
・ 25日間の入院加療
・ 退院後も筋力低下が残存

 

2. なぜ起きたのか — 4つの根本原因

 

この事例は「ビタミンDが危険」ということではなく、いくつもの安全管理の欠如が重なった結果です。

 

医師の管理がなかった

 

サプリメントは販売会社のイベントで購入され、「体調に応じて追加」という販売側の指示のもと、ご両親が投与していました。処方した医師はいません。

 

子どもの体格に合っていなかった

 

体重14.7 kgのお子さんに、1日あたり最大約15,000 IU(国際単位)のビタミンDが投与されていました。これは厚生労働省が定める7歳の耐容上限量(1,600 IU)の約9.3倍にあたります。

 

製品の品質に問題があった

 

分析の結果、同じボトルの中でもカプセルごとにビタミンDの含有量が最大2倍以上ばらついていたことがわかりました。「1粒に何IU入っているか」さえ安定していなかったのです。

 

定期的な検査が行われなかった

 

6か月間、一度も血液検査が行われませんでした。症状が出始めてからも約2か月間、受診されませんでした。

 

3. 当院の栄養療法との違い — 徹底した安全管理体制

 

当院の合言葉は「測って、狙って、確認する」です。サプリメントを「処方」するにあたり、当院では以下の原則に基づいて安全を管理しています。

 

違い① 血液検査に基づく「医師の管理」

 

報告された事例では、6か月間一度も血液検査が行われていませんでした。「測っているか、測っていないか」——実はここが、安全と危険の最大の分かれ目です。

 

当院では、サプリメントをお出しする際、できる限り事前の血液検査(採血)をおすすめしています。ビタミンDの血中濃度(25-OHビタミンD)とカルシウム値を測定し、お子さんの体の中で何が起きているかを数値で確認してから処方することを基本としています。

 

もちろん、年齢やご本人の特性によって「どうしても採血が難しい」というお子さんもいらっしゃいます。その場合は、専門家の指針に基づいた用量上限を厳格に守って処方することで、安全を担保しています。

 

違い② 子どもの体格に合った製品選びと用量

 

今回の事例では、体重14 kgのお子さんに大人向けの製品が使われ、1日に耐容上限量の約9.3倍もの量が投与されていました。

 

当院では、お子さんの年齢や体重、そして必要量に応じて、安全に飲める適切な子ども用の低用量製品などを慎重に使い分けています。お子さんの体格に合わない大量の用量をお渡しするようなことは決してありません。

 

違い③ 「1粒の含有量」が厳格に管理された製品品質

 

小児科学会の報告で非常に重要だったのが、「製品の品質(ばらつき)」の問題です。分析の結果、事例で使われた製品は、同じボトルの中でもカプセルごとにビタミンDの含有量が最大2.1倍もばらついていたことが判明しました。つまり、「1粒に何IU入っているか」がそもそも不確実だったのです。

 

当院で使用しているサプリメントは、GMP(適正製造規範)基準をクリアした工場で製造される、医療機関向けの製品のみを採用しています。1粒あたりの含有量が厳格に品質管理されており、一般の店舗やネット販売で起こり得る「ばらつきリスク」を排除しています。

 

違い④ 定期的な再評価によるモニタリング

 

サプリメントを開始した後も、定期的な再検査(採血)をおすすめしています。ビタミンDの値がどう変化しているか、カルシウムが上がっていないかを確認し、必要に応じて量を調整します。

 

採血ができないお子さんの場合も、定期的な診察で問診や症状の変化を細かく確認しながら、継続的な安全管理を行っています。

 

※この報道に関するさらに詳しいQ&Aや分析については、当院の関連サイト(LifeCrescendo)の緊急QA記事「【緊急QA】「ビタミンDで中毒」のニュース、うちの子は大丈夫?」でも詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

 

4. よくあるご質問

 

「ネットで1,600 IUまでと書いてありましたが、うちの子はそれより多く飲んでいます」

 

厚生労働省の耐容上限量(1,600 IU)は、何の検査もなしに自己判断で摂る場合の安全ラインです。当院では血液検査で実際の濃度を測定した上で処方しており、判断の精度が異なります。お子さんの値を確認しながら管理していますので、ご安心ください。

 

「やめた方がいいですか?」

 

日本の子どもの98%がビタミンD不足と報告されています。ビタミンDが不足すると、免疫力の低下やアレルギーの悪化、腸の粘膜バリアの弱体化につながります。医療管理下で適切に補充することは、やめるリスクの方が大きいと考えています。ご不安があれば、次回の診察でご相談ください。

 

「市販のサプリを追加してもいいですか?」

 

市販品の自己判断での追加はお控えください。 全体の摂取量が把握できなくなり、次回の血液検査の判断にも影響します。何か追加したい場合は、先にご相談いただければ判断いたします。

 

まとめ

 

今回の報告は、栄養療法そのものの危険性を示すものではありません。

 

「医師の管理なしに、品質の不安定な製品を、子どもの体格に合わない量で長期間投与し、一度も検査しなかった」ことで起きた事故です。

 

当院の栄養療法は、「測って、狙って、確認する」の3ステップで安全を担保しています。

 

ビタミンDは正しく使えば、お子さんの免疫力や腸の健康を支える強力な味方です。ご不安なことがあれば、いつでもお声がけください。

 

💡 院長メモ
「サプリメントが危険なのではなく、管理なしの使用が危険」——これは薬でも手術でも同じ原則です。正しい知識と管理のもとで使うことが、すべての医療の基本です。当院の栄養療法は、その原則を一つひとつ守っています。

 

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この記事の執筆・監修者

 

小森こどもクリニック 院長 小森 広嗣(こもり こうじ)

 

小児外科専門医・指導医、医学博士。慶應義塾大学医学部卒業後、東京都立小児総合医療センター外科医長などを経て、小森こどもクリニックを開院。年間5,000組以上のお子さんとご家族の便秘治療に携わる。腸の「構造(小児外科)」と「機能(栄養療法)」の両面からアプローチする独自の診療スタイルで、重症・難治性の便秘にも対応。便秘治療に関する書籍を2026年刊行予定(英智舎)。

 

「成長の感動や喜びをお子さん・ご家族と分かち合い、楽しく安心して子育てができる社会を創る」ことを自身のビジョンとし、診療と情報発信の両輪で活動している。