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子どもが甘いものをやめられないのはなぜ?小児外科医が解説する「糖質依存」と「鉄欠乏」の意外な関係

  • 公開:2026年5月15日
  • 更新:2026年5月15日
  • 未分類

「うちの子、毎日お菓子やジュースばかりで……注意してもやめられないんです」

 

「朝ごはんも菓子パンしか食べなくて、いつも機嫌が悪いです」

 

小森こどもクリニックの栄養外来には、このようなお悩みを抱えた親御さんが多く来院されます。

 

虫歯や肥満が心配なのはもちろんですが、実は「甘いものがやめられない」という状態の裏には、子どもの心と体の発達に関わる重大なサインが隠れていることがあります。

 

お子さんが甘いものを欲しがるのは、決して「しつけが悪い」からでも「意志が弱い」からでもありません。体の中で「ある栄養素」が不足し、脳が緊急事態だと勘違いしているからです。

 

この記事では、小児外科専門医としての視点と、栄養療法の知見を掛け合わせて、子どもが甘いものをやめられない本当の理由と、ご家庭でできる具体的な解決策を解説します。

 

栄養外来と血糖値

 

甘いものを欲しがる本当の理由:「鉄欠乏」によるエネルギー不足

 

子どもが甘いものを異常に欲しがる時、体の中で何が起きているのでしょうか。

 

最大の原因は、「鉄」と「ビタミンB群」の不足によるエネルギー(ATP)産生の低下です。

 

私たちの体は、細胞の中にある「ミトコンドリア」という工場でエネルギーを作っています。この工場を動かすために絶対に必要なのが、鉄とビタミンB群です。

 

※この「鉄・血糖値・エネルギー」の仕組みについては、「血糖×鉄×ATP 三位一体」の記事でも詳しく解説しています。

 

成長期の子どもは、体を大きくするために大人の2〜3倍の鉄を消費します。鉄が足りなくなると、エネルギー工場がストップしてしまいます。

 

すると、脳は「エネルギーが足りない!今すぐ補給しないと倒れてしまう!」とパニックを起こし、最も手っ取り早くエネルギーに変わる「糖(甘いもの)」を強烈に要求するのです。

 

つまり、甘いものを欲しがるのは「脳が生き延びるために出しているSOSサイン」なのです。

 

血糖値のジェットコースターが引き起こす「心と体の不調」

 

脳の要求に従ってジュースやお菓子を大量に食べると、今度は別の問題が発生します。それが「血糖値スパイク(乱高下)」です。

 

甘いものを食べると血糖値が急上昇します。すると体は慌ててインスリンを出し、今度は血糖値が急降下します。この急降下した時(反応性低血糖)、体は再び命の危機を感じて「アドレナリン」という興奮ホルモンを放出します。

 

アドレナリンが過剰に出ると、子どもに以下のような症状が現れます。

 

些細なことでイライラする、キレやすい
集中力が続かない、落ち着きがない
夜、寝つきが悪い、悪夢を見る、歯ぎしりをする
朝、起きられない、午前中はだるそうにしている

 

「性格の問題」や「起立性調節障害」と思われていた症状の多くが、実はこの「甘いものの食べ過ぎによる血糖値の乱高下」から来ているケースが非常に多いのです。

 

「お菓子を隠す・禁止する」が逆効果になる理由

 

「じゃあ、明日から家の中のお菓子とジュースを全部捨てよう!」

 

そう思われるかもしれませんが、いきなり完全に禁止するのはおすすめしません。

 

なぜなら、根本的な原因である「鉄不足(エネルギー不足)」が解決していないのに糖質だけを奪うと、脳はさらに強い飢餓感を感じ、隠れて食べたり、反動でドカ食いをしてしまうからです。

 

大切なのは「奪う」ことではなく、「足りないものを足す」こと、そして「食べ方を変える」ことです。

 

ご家庭で今日からできる3つのステップ

 

ステップ1:おやつの「前」にタンパク質を食べる

 

空腹の状態で甘いものを食べるのが、最も血糖値を乱高下させます。

 

お菓子を食べる前に、「チーズをひとつ」「ゆで卵を半分」「小魚アーモンド」など、少量のタンパク質を食べるルールにしてみてください。これだけで血糖値の急上昇を防ぐことができます。

 

ステップ2:朝ごはんに「卵」か「お肉」を足す

 

菓子パンやシリアル、おにぎりだけといった「糖質オンリー」の朝食は、1日の血糖値を不安定にします。

 

目玉焼き、ウインナー、ツナマヨなど、タンパク質のおかずを必ず1品足すようにしてください。午前中の集中力と機嫌が劇的に変わります。

 

ステップ3:夜のジュース・アイスをやめる

 

夕食後や寝る前の甘いものは、睡眠中の「夜間低血糖」を引き起こし、朝起きられない最大の原因になります。

 

寝る前のジュースはお茶や水に変え、どうしてもお腹が空く場合は、少量のタンパク質(温かい豆乳やチーズなど)に置き換えましょう。

 

ステップ4:血糖値を上げない「お助けアイテム」を活用する

 

どうしても甘いものが欲しい時のために、ご家庭でできる工夫があります。

 

一つは、砂糖の代わりに血糖値を上げない天然甘味料「ラカント」を使うこと。もう一つは「MCTオイル」の活用です。MCTオイルは糖質の代わりに素早く脳のエネルギー(ケトン体)になってくれるため、温かい飲み物やスープに小さじ1杯入れるだけで、脳のエネルギー不足が解消され、甘いものへの渇望がスッと落ち着きます。我慢するのではなく、こうしたアイテムで体を「チューニング」していくのが成功の秘訣です。

 

私たちの体験談:甘いものは「禁止」ではなく「体のチューニング」

 

実は私たち自身も、栄養療法に出会う前は「疲れたら甘いもの」に頼っていました。「脳にはブドウ糖が必要だから」と自分を納得させ、その時だけの幸福感で応急処置をしていました。その後の強烈なだるさや反動に気づきながらも、やめられなかったのです。

 

しかし、栄養療法を実践し、体の土台が整って血糖値が安定してくると、不思議な変化が起きました。「食べたい」という欲求そのものが消え、たまに食べると以前大好きだったお菓子が「甘すぎて食べられない」と感じるようになったのです。

 

もちろん、今でも時々はご褒美として甘いものを楽しみます。人生の楽しみとして、それは経験して良いと思っています。ただ、栄養療法を長く続けている私たちでさえ、糖質を摂りすぎれば確実に血糖値スパイクが起き、体がだるくなり、気持ちが不安定になります。

 

だからこそ、いきなり「明日からお菓子は一切禁止!」と無理をするのではなく、なるべく「甘いものを欲しない体」「血糖値が維持できる体」へと、少しずつ体を調整(チューニング)していくことが大切です。

 

治らない不調は、血液検査で「フェリチン」の確認を

 

食事の工夫をしてもなかなか改善しない場合、または「朝全く起きられない」「頭痛や立ちくらみがひどい」といった症状が出ている場合は、医療機関での検査をおすすめします。

 

一般的な小児科の血液検査(ヘモグロビン)では「貧血なし」と言われても、体内の貯蔵鉄である「フェリチン」を測ると、数値が一桁(極度の鉄欠乏)という子どもが当院にはたくさん来院されます。

 

小森こどもクリニックの栄養外来では、詳細な血液検査(栄養解析)を行い、お子さん一人ひとりの「足りない栄養素」を特定し、医療用サプリメントを用いた根本的な体質改善を行っています。

 

「甘いものがやめられない」「朝起きられない」「イライラしやすい」——これらのサインを見逃さず、体の内側(土台)から整えてあげることが、お子さんの健やかな成長と笑顔につながります。

 

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小森広嗣|こどもの栄養とお腹の専門医🌱 @KomoriKodomoCL

 

この記事の執筆・監修者

 

小森こどもクリニック 院長 小森 広嗣(こもり こうじ)

 

小児外科専門医・指導医、医学博士。慶應義塾大学医学部卒業後、東京都立小児総合医療センター外科医長などを経て、小森こどもクリニックを開院。年間5,000組以上のお子さんとご家族の便秘治療に携わる。腸の「構造(小児外科)」と「機能(栄養療法)」の両面からアプローチする独自の診療スタイルで、重症・難治性の便秘にも対応。便秘治療に関する書籍を2026年刊行予定(英智舎)。

 

「成長の感動や喜びをお子さん・ご家族と分かち合い、楽しく安心して子育てができる社会を創る」ことを自身のビジョンとし、診療と情報発信の両輪で活動している。