

「薬を飲んでいるけれど、やっぱり辛い」
「薬を飲むと眠くなってしまい、勉強や仕事に集中できない」
そんなお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
多くの方が、症状を抑える「お薬」は飲んでいますが、症状が出にくい体を作る「栄養」については意外と知らないまま過ごされています。
今日は、当院の栄養外来で多くの患者様の健康をサポートしてきた経験から、「薬だけに頼らない、体の中からアプローチする花粉症対策」についてお話しします。

そもそも、なぜ花粉症になるのでしょうか?
花粉はウイルスのように増殖して体を攻撃するわけではありません。本来は無害なものです。
しかし、体が花粉を「敵だ!」と勘違いし、過剰に攻撃して追い出そうとする。
その結果としての「くしゃみ(吹き飛ばす)」「鼻水(洗い流す)」「涙(洗い流す)」が、花粉症の正体です。
つまり、花粉症は「免疫システムがパニックを起こし、暴走している状態」なのです。
お薬(抗ヒスタミン薬など)は、出てしまった「鼻水」や「かゆみ」を止める『火消し』の役割です。これはこれで、辛い時には必要な「レスキュー」です。
ですが、火事そのものを起きにくくするには、別の戦略が必要です。それが「ビタミンD」と「ビタミンA」です。
「ビタミンD? 骨を強くするやつでしょ?」
そう思われた方、正解ですが、それだけではありません。
近年の研究で、ビタミンDには「暴走している免疫(制御性T細胞)をなだめる」という、非常に重要な働きがあることがわかってきました。
「敵じゃないから、そんなに騒がなくていいよ」
ビタミンDは、パニックになった免疫細胞にこう指令を出し、過剰な炎症反応(アレルギー症状)をクールダウンさせてくれる「免疫の司令塔」なのです。
さらに、栄養療法において特に重要なのが「腸」との関係です。
実は、免疫細胞の約7割は腸に集まっています。ビタミンDは、腸の細胞同士の結びつき(タイトジャンクション)を強くし、未消化なものやアレルギーの原因物質が体内に漏れ出すのを防ぐ「腸のバリア機能」も高めてくれます。
お腹の調子を整えることが、実は鼻や目の症状を楽にすることに直結しているのです。
花粉が体の中に入る侵入口はどこでしょうか?
そう、「鼻」や「目」の「粘膜」です。
口から腸まで続く「粘膜」の状態は、健康の要です。
ビタミンAは、この粘膜を分厚く、潤いのある状態に保つ材料になります。
粘膜が乾燥して薄くなっていると、花粉がダイレクトに侵入し、スイッチを押してしまいます。
ビタミンAで「物理的なバリア」を強化することは、マスクをするのと同じくらい重要な防御策なのです。
誤解しないでいただきたいのは、「薬をやめてサプリにしよう」と言っているわけではありません。
西洋医学(薬): 今ある辛い症状を、瞬時に止める「レスキュー」。
分子栄養学(栄養): 免疫の暴走を抑え、そもそも症状が出にくい体を作る「土台(ベース)」。
この2つを組み合わせるのが、小森こどもクリニックが提案する「二刀流(ハイブリッド)の治療」です。
「薬を飲んでいるけど、なんとなくスッキリしない」
「薬の量が増えていくのが不安」
そんな方は、今のお薬にプラスして、ビタミンDとAを取り入れてみてください。
「あれ?今年はなんだか楽かも?」と感じられる瞬間が、きっと来るはずです。
「自分にはどれくらい必要なの?」
「子供にも飲ませて大丈夫?」
サプリメントは、ただ飲めばいいというものではありません。
特にビタミンDは、花粉症対策として使う場合、一般的な量よりも少し多めに摂ることで効果を発揮するケースが多いです(血中濃度50〜80ng/mLが目安とされる報告もあります)。
まずは、ご家庭でできることから始めてみましょう。
ビタミンDとビタミンAは、食品から摂るのが意外と難しい栄養素ですが、意識することで少しずつ底上げできます。
【ビタミンD(免疫調整)】
魚類: 鮭(サケ)、しらす、イワシ、サンマなど
キノコ類: きくらげ、干し椎茸など(日光に当てたものがおすすめ)
【ビタミンA(粘膜バリア)】
動物性(レチノール): うなぎ、レバー、卵黄など(吸収率が高い)
植物性(βカロテン): 人参、かぼちゃ、ほうれん草などの緑黄色野菜(油と一緒に摂ると吸収アップ)
ビタミンDは、日光(紫外線)を浴びることで皮膚で作られる唯一のビタミンです。
手のひら日光浴: 1日15分〜30分程度、手のひらを太陽にかざすだけでも効果があります。
注意点: ガラス越しでは紫外線がカットされてしまうため、窓を開けるか、外に出る必要があります。
食事や日光浴だけでは、現代人の生活スタイルではどうしても不足しがちなのが現実です。
特に、花粉症の症状を抑えるために必要な血中濃度を目指すには、サプリメントの活用が近道です。
当院の栄養外来では、詳細な血液検査で今の数値を測ることもできますし、まずは検査なしで「花粉症対策セット」として、医師が選んだ医療用サプリメントを試していただくことも可能です。
詳しい飲み方や、あなたのお子さんに合った量は、診察室でお話ししましょう。
この春は、ティッシュの山とサヨナラして、スッキリとした気分で新生活を迎えましょう!
A. 腸内環境を整えるという意味では良いですが、選び方が大切です。砂糖がたっぷり入った甘いヨーグルトは、逆に腸内の悪玉菌のエサになり、炎症を助長してしまうことがあります。無糖のものを選び、オリゴ糖やフルーツで甘みを足すのがおすすめです。また、日本人の一部には乳製品が合わない体質の方もいますので、食べてお腹が張るようなら無理に摂る必要はありません。
A. 理想的には、花粉が飛び始める1〜2ヶ月前から体作りをしておくのがベストです。しかし、症状が出てからでも遅くはありません。免疫の暴走をなだめる効果は期待できますので、思い立ったその日から始めてみてください。
A. はい、飲めます。ただし、大人用のものをそのままあげるのは量や形状の面で難しい場合があります。当院では、小さなお子さんでも飲みやすい小さなカプセル、粉(パウダー)など、お子さんの年齢に合わせた医療用サプリメントをご用意しています。
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小森こどもクリニック 院長 小森 広嗣(こもり こうじ)
慶應義塾大学医学部卒。都立小児総合医療センター外科医長などを経て小森こどもクリニックを開院。 小児外科専門医として数多くのおなか(消化管)の手術や治療に携わり、「こどものお腹のスペシャリスト」として消化管の構造と機能に精通する。
その専門知識と、細胞レベルで体を整える「分子栄養学」を掛け合わせ、「吸収の場である腸」と「体の材料となる栄養」の両面からアプローチを行う。 自身や家族が長年の不調を栄養療法によって克服した経験に基づき、薬だけに頼らない根本的な健康づくり(小児医療のルネサンス)を提案している。 日本小児外科学会認定専門医・指導医、医学博士。