★咽頭結膜熱(プール熱)とは
アデノウイルスが原因のウイルス感染症です。アデノウイルスには50程度の種類があり、何回も感染する可能性があります。ウイルスの種類、個人の体力や免疫の状態によって引き起こす症状が違うため、肺炎、上気道炎、咽頭炎、咽頭結膜熱(プール熱)、流行性角結膜炎、出血性膀胱炎、腸炎など様々な病態を引きおこします。種類が多く、免疫がつきにくいため、何回も感染する場合があります。
特に、熱、喉の症状(痛み)、目の症状(目やに、充血)の3つの症状を認める場合を、アデノウイルス感染症の中でも、咽頭結膜熱(プール熱)と診断されます。
★症状・経過
潜伏期間は5-7日間で、感染経路は唾液、便、直接接触などです。39から40℃の高熱が4-5日続き、のどの痛みが強く、目も赤くなります。さらに頭痛、吐き気、腹痛、下痢を伴うこともあります。夏にプールを介して学童の間に流行するので「プール熱」の名がありますが、プールに入らなくてもうつります。夏以外にもみられます。
★診断
診断は、症状や流行の状況から判断し、咽頭の拭い液、眼の分泌物、糞便の迅速検査、もしくは血液検査から確定します。
★治療
根本的に治す薬はありませんが、自分の免疫力で、自然軽快します。ただし、熱が5日ほど続くため、水分摂取や熱やのどの痛みをおさえる薬(解熱鎮痛剤)を用いながら経過をみていきます。
★家庭で気をつけること
①高い熱:何日も高熱が続くので不安になりますが、解熱剤を適宜もちいて楽に過ごせるようにしてあげましょう。
②食べ物:のどは痛いし熱も高いので、食欲がないことが多いです。プリンやゼリー、アイスクリーム、冷めたおじや、とうふ、
冷たいスープなどがよいでしょう。
③水分:水分は十分に飲ませてください。麦茶やイオン水(オーエスワン、アクアライト)、牛乳、味噌汁、冷たいスープなどがよいでしょう。
④入浴:高い熱があるときや元気がないとき以外は、かまいません。
⑤タオル:共用は避けましょう。
★こんなときはもう一度診察を
・のどの痛みが強くて水分をあまり飲まないとき
・高い熱が3日以上続くとき
・元気がなくてぐったりしているとき
★登園・通学の目安
熱が下がってのどの痛みがなくなってから2日間は休ませましょう
慶應義塾大学医学部卒業
小児外科学会専門医、小児外科指導医、医学博士
小森こどもクリニックでは、成長の感動や喜びをお子さん ご家族と分かち合い、楽しく安心して子育ができる社会を創ることをビジョンに活動しています。