2026年6月05日

「モビコールを飲めば便は出るけれど、いつまで飲み続けるんだろう?」
「便秘は良くなったはずなのに、子どもがいつもイライラしていて、朝も起きられない…」
🎥 【動画で解説】「様子見」と言われ続けてきたご家族へ
便秘がなかなか治らず行き場を失っている方へ。まずは小森院長からのメッセージ動画(約5分)をご覧ください。便秘治療の方向性についてお話ししています。
便秘外来で長年治療を続けてこられたお母さんから、このようなご相談を受けることがよくあります。
当院は、小児外科専門医としての「便秘外来」と、分子栄養学に基づいた「栄養外来」を両輪として診療しています。この記事では、腸の構造を熟知した立場から、「便秘薬で出ている状態」のその先にある、腸と栄養の深いつながりについてお話しします。
結論からお伝えすると、「便が出ている=腸の機能が完全に整った」わけではありません。
便秘薬で「出ている」から安心、ではありません
便秘の治療において、モビコールや酸化マグネシウムなどの薬を使って「毎日すんなり・しっかり・すっきり(3S)」便を出すことは、絶対に欠かせない第一歩です。伸びきった直腸(ゴム風船)を休ませ、便意のセンサーを回復させるためには、薬という「補助輪」がどうしても必要だからです。
しかし、薬で便が出ている状態というのは、あくまで「対症療法」がうまくいっている状態です。腸の機能自体が根本から整い、自力で動けるようになったわけではありません。
便秘を長く患っていたお子さんの腸は、粘膜に微細な炎症が起きていることが多く、例えるなら「畑の土が荒れている状態」です。土が荒れていれば、いくら良い肥料(栄養)をまいても、作物はうまく育ちません。
つまり、「薬を飲んでいればOK」という段階の次には、「荒れた腸の粘膜を修復し、栄養をしっかり吸収できる土台を作る」というステップが待っているのです。
腸が荒れていると、心と体の材料が不足する
「便秘は良くなったのに、うちの子はいつも不機嫌で、癇癪を起こしやすい」
このギャップに悩む親御さんは少なくありません。実は、この「性格」や「気質」に見える問題の根底には、腸の荒れによる「栄養吸収の低下」が隠れていることがあります。
私たちの腸は「第二の脳」と呼ばれるほど、心と密接につながっています(腸脳相関)。たとえば、心を落ち着かせる「セロトニン」というホルモンの材料は、その多くが腸で作られます。腸内環境が悪ければ、この安定ホルモンが十分に作られず、結果としてイライラや不安感が強くなってしまうのです。
また、成長に欠かせないタンパク質や鉄分、亜鉛などを食事から一生懸命摂っても、腸が荒れていれば吸収されずに素通りしてしまいます。
・ 朝、なかなか起きられない(鉄不足のサイン)
・ ちょっとしたことで爆発する(血糖値の乱高下やタンパク質不足のサイン)
・ 風邪をひきやすく、治りにくい(ビタミンDや亜鉛不足のサイン)
これらはすべて、腸から十分な栄養が吸収できていない「隠れ栄養失調」のサインかもしれません。
便秘の「その先」— 栄養外来でできること
便秘外来での目標が「便を出すこと(激流期・安定期のコントロール)」だとすれば、栄養外来での目標は「腸を整えて、栄養を吸収できる体を作ること」へのシフトです。
当院の栄養外来では、血液検査や遅延型アレルギー検査などを通じて、保険診療の枠組みでは見えにくい「隠れた不調の原因」を探ります。
・ フェリチン(鉄の貯金)は足りているか?
・ 亜鉛(味覚や成長の触媒)は不足していないか?
・ 腸の粘膜にダメージを与えている隠れたアレルギーはないか?
これらの数値を客観的に知り、お子さん一人ひとりに合わせた「Cコース(精密プログラム)」などのアプローチで、腸内環境の根本的な立て直しを図ります。
まとめ — 構造と機能の両面から支える
「便秘薬をいつまで続けるのか」という不安は、親御さんにとって本当に切実なものです。
小児外科医としてのお腹の「構造」への専門知識と、分子栄養学による「機能(栄養・吸収)」へのアプローチ。この両面からお子さんの体を診ることができるのが、当院の最大の強みです。
便秘の改善と並行して、腸内環境と栄養を根本から整えることで、「便秘以外の不調」(イライラ・疲れやすさ・寝つきの悪さ)も変わっていくケースが少なくありません。
「便は出ているけれど、なんとなく本調子じゃない」と感じたら、それは次のステップへ進むサインかもしれません。私たちは、ご家族が正しい方向に進むための「応援部隊」として、根気強く伴走します。
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小森広嗣|こどもの栄養とお腹の専門医🌱 @KomoriKodomoCL
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この記事の執筆・監修者
小森こどもクリニック 院長 小森 広嗣(こもり こうじ)
慶應義塾大学医学部卒。都立小児総合医療センター外科医長などを経て小森こどもクリニックを開院。小児科医・小児外科専門医として数多くのおなか(消化管)の手術や治療に携わり、「こどものお腹のスペシャリスト」として消化管の構造と機能に精通する。
自身や家族の不調が栄養療法で改善した手応えから、「西洋医学だけでは届かない不調」の解決策として「栄養」の重要性を確信。「吸収の場である腸」と「体の材料となる栄養」の両面から、標準治療と分子栄養学を柔軟に組み合わせ、その子の体の土台を根本から整える「統合的な医療」を実践している。日本小児外科学会認定専門医・指導医、医学博士。