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【子どもの便秘】グリセリン浣腸のリスクは? “危ないの?” “癖になるの?” 飲み薬との違いを徹底解説

はじめに

 

当院には重症の便秘でお困りのお子さんが多く受診します。

 

特に、小さなお子さんや便秘歴が長いお子さんの場合、まずグリセリン浣腸から取り組むことで「毎日しっかり出す習慣」を身体に覚えこませることがしばしば必要になります。

 

しかし、「浣腸なんて続けたら自力で出せなくなる」「飲み薬の方が良いのでは?」という疑問や、「浣腸を無駄にさせられている」と感じてしまうような誤解が生まれることがあります。

 

そうした不安や誤解を解消し、浣腸治療の本質とメリット・デメリットを整理してお伝えしたいと思い、本記事を作成しました。

 

今回は、当院でよく行っている「グリセリン浣腸による便秘治療」について、誤解が生じやすいポイントを中心に解説します。

 

1. 浣腸治療の本来の目的

 

1-1. まずは“しっかり出す”リズムを体に刻む

 

便秘が重症の場合、内服薬だけで思うように排便が確立しないケースも少なくありません。

 

グリセリン浣腸を用いて確実に「毎日排便する」というリズムを身体に覚えさせることで、腸と脳に「排便タイミング」を学習させます。

 

「浣腸=その場限り」ではなく、続けることで毎日出す習慣が身につくのが大切なポイントです。

 

1-2. 長期的には自力排便の土台

 

将来的には「自然に自分の力で出せる」ように目指しますが、その“突然の自力排便”は、決して浣腸が無駄だったのではなく、浣腸で培ってきた排便リズムが大きな土台になっているのです。

 

2. 「内服に切り替えたら急に出るようになった=浣腸は無駄」は”誤解”

 

実際には飲み薬で治療を続けている

 

「浣腸をやめて飲み薬にした途端、急に毎日出るようになった」というケースがありますが、そこで使っているのは飲み薬という治療方法です。

 

つまり、完全に自力排便で出しているわけではなく、形を変えて“排便リズムを継続”しているという点を忘れてはなりません。

 

浣腸が生んだリズムと力

 

「突然うまくいき始めた」ように見えても、浣腸の期間に蓄えた排便のリズムや腸の学習効果が大きく影響しています。決して浣腸が無意味だったのではなく、それがあったからこそスムーズに移行できたのです。

 

3. 浣腸と飲み薬のメリット・デメリット

 

便秘治療には大きく分けて「浣腸」と「飲み薬」の2つの方法があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。

便秘の治療に悩む家族

3-1. 浣腸のメリット・デメリット

 

メリット

 

– 即効性があり、毎日“出し切る”経験を積ませやすい
– 便が残りにくいため、お腹の張りや痛みを減らしやすい
– 一度にしっかり出す感覚を体が覚えやすい

 

– デメリット

 

– お尻への刺激を嫌がるお子さんが多い
– 挿入や体勢の負担、親御さんが心理的に抵抗を感じる場合もある
– 適切なやり方が分からないまま行うと、お尻や直腸を傷つけるリスクも

 

3-2. 飲み薬(内服薬)のメリット・デメリット

 

– メリット

 

– お尻に触れないため、挿入の抵抗感がなくなる
– 飲みやすいお薬なら、比較的続けやすい
– 外出先でも対応しやすい

 

デメリット

 

– そもそも「お薬を飲むこと」が苦手なお子さんも多い
– 便を柔らかくしすぎてしまい、急に便意がきて漏れてしまう(学校や保育園での“うんち漏れ”)などの相談が多い
– 効き目がマイルドで、重症の便秘には十分なリズムが作れない場合もある

 

4. 結局、どちらが良いの?

 

結論から言うと、「浣腸と飲み薬のどちらが絶対に良い」というものではなく、その子の便秘の状態や性格・生活環境に合わせて選択・併用することが大事です。

 

1. まずは“しっかり出す”習慣をつくり、便を溜めない生活を送る

2. リズムが確立した頃に、必要に応じて方法を変えたり、減らしたりする

3. 最終的には、いずれ薬を使わなくても出せる状態(真の自力排便)を目指す

 

ですから、浣腸が良い・飲み薬が良いというより、それぞれにあるメリット・デメリットを踏まえて、どちらがより“続けやすいか”を一緒に考えるのが当院の方針です。

 

5. 短期ゴールと長期ゴールを意識した便秘治療

 

5-1. 短期ゴール:とにかく「毎日出す」

 

まずは便を溜めず、スッキリ出して生活の質を上げる

お子さんの気持ちや状態に合わせて、浣腸や内服薬を適宜選択する

 

5-2. 長期ゴール:いずれ自力排便へ

 

– 浣腸でも内服薬でも、毎日排便を続けていくうちに、体が自然と“便意”を感じ取りやすくなる

 

– 「ある日、飲み薬を減らしても出せるようになった」「浣腸の回数を徐々に減らしたら自力排便が定着した」といった段階を踏み、薬を要しない自力排便を目指していく

 

子供の便秘4コマ漫画

 

6. まとめ〜浣腸も内服薬も、あくまで“道具”〜

 

浣腸は無駄ではなく、排便リズムを体に覚え込ませるための重要な方法です。

飲み薬が急に上手くいくようになった場合でも、それは浣腸で培った土台があってこそです。

内服薬にもメリットがある一方、「お薬を飲むのが苦手」「便がゆるくなりすぎて困る」などのデメリットも存在します。

最終的な目標は自力排便ですが、そこに至るまでは浣腸にしろ内服薬にしろ、生活に無理なく取り入れやすい方法を選ぶのが大切です。

 

不安をためこまないで!

 

「浣腸が不安」「飲み薬ではダメなのか?」「結局どっちがいいの?」など、便秘治療に関する疑問や不安がございましたら、今当院で治療中のお子さまも含め、その不安をお伝えください。

 

便秘治療には「これが正解」という唯一無二の治療があるわけではありません。

 

それぞれのお子さんの便秘治療のゴールに向けて、今の悩みや問題を含め、無理のない治療を相談しながら見ていきたいと思っています。お悩みを抱え込んでしまうことで、治療の方向性にズレが生じてしまうのはとても残念なことです。

 

お子さんにとっても、ご家族にとってもストレスが少なく、毎日の生活がより快適になる方法を、一緒に考えていきましょう。

 

【当院の便秘治療流れを専門サイトで情報発信しています】

当院では便秘専門サイトでも情報を発信しています!

 

子どもの便秘専門サイト

 

 

院長 小森 広嗣
記事監修
院長 小森 広嗣
(こもり こうじ)

慶應義塾大学医学部卒業
小児外科学会専門医、小児外科指導医、医学博士

小森こどもクリニックでは、成長の感動や喜びをお子さん ご家族と分かち合い、楽しく安心して子育ができる社会を創ることをビジョンに活動しています。

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