2026年2月01日

2月に入り、そろそろスギ花粉のニュースが気になる時期になりましたね。
予報では中旬頃からの飛散と言われていますが、当院の外来では、すでに鼻水や目のかゆみといった症状を訴える方が少しずつ増えてきています。
花粉症対策の鉄則は、本格的に飛び始める前の「初期療法(早めの治療)」です。
いつものお薬を早めに飲み始めることはもちろん大切ですが、今年はそこに「栄養」という新しいアプローチを加えてみませんか?
「薬を飲んでいるけれど、やっぱり辛い」
「薬を飲むと眠くなってしまい、勉強や仕事に集中できない」
そんなお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
多くの方が、症状を抑える「お薬」は飲んでいますが、症状が出にくい体を作る「栄養」については意外と知らないまま過ごされています。
今日は、当院の栄養外来で多くの患者様の健康をサポートしてきた経験から、「薬だけに頼らない、体の中からアプローチする花粉症対策」についてお話しします。
1. アレルギーは「免疫の暴走」です
そもそも、なぜ花粉症になるのでしょうか?
花粉はウイルスのように増殖して体を攻撃するわけではありません。本来は無害なものです。
しかし、体が花粉を「敵だ!」と勘違いし、過剰に攻撃して追い出そうとする。
その結果としての「くしゃみ(吹き飛ばす)」「鼻水(洗い流す)」「涙(洗い流す)」が、花粉症の正体です。
つまり、花粉症は「免疫システムがパニックを起こし、暴走している状態」なのです。
2. 暴走を止める「2つの栄養アプローチ」
お薬(抗ヒスタミン薬など)は、出てしまった「鼻水」や「かゆみ」を止める『火消し』の役割です。これはこれで、辛い時には必要な「レスキュー」です。
ですが、火事そのものを起きにくくするには、別の戦略が必要です。それが「ビタミンD」と「ビタミンA」です。
① 免疫の司令塔「ビタミンD」と「腸のバリア」
「ビタミンD? 骨を強くするやつでしょ?」
そう思われた方、正解ですが、それだけではありません。
近年の研究で、ビタミンDには「暴走している免疫(制御性T細胞)をなだめる」という、非常に重要な働きがあることがわかってきました。
「敵じゃないから、そんなに騒がなくていいよ」
ビタミンDは、パニックになった免疫細胞にこう指令を出し、過剰な炎症反応(アレルギー症状)をクールダウンさせてくれる「免疫の司令塔」なのです。
さらに、栄養療法において特に重要なのが「腸」との関係です。
実は、免疫細胞の約7割は腸に集まっています。ビタミンDは、腸の細胞同士の結びつき(タイトジャンクション)を強くし、未消化なものやアレルギーの原因物質が体内に漏れ出すのを防ぐ「腸のバリア機能」も高めてくれます。
お腹の調子を整えることが、実は鼻や目の症状を楽にすることに直結しているのです。
② 最初の砦・粘膜を作る「ビタミンA」
花粉が体の中に入る侵入口はどこでしょうか?
そう、「鼻」や「目」の「粘膜」です。
口から腸まで続く「粘膜」の状態は、健康の要です。
ビタミンAは、この粘膜を分厚く、潤いのある状態に保つ材料になります。
粘膜が乾燥して薄くなっていると、花粉がダイレクトに侵入し、スイッチを押してしまいます。
ビタミンAで「物理的なバリア」を強化することは、マスクをするのと同じくらい重要な防御策なのです。
3. 「薬」+「栄養」のハイブリッド戦略
誤解しないでいただきたいのは、「薬をやめてサプリにしよう」と言っているわけではありません。
西洋医学(薬): 今ある辛い症状を、瞬時に止める「レスキュー」。
分子栄養学(栄養): 免疫の暴走を抑え、そもそも症状が出にくい体を作る「土台(ベース)」。
この2つを組み合わせるのが、小森こどもクリニックが提案する「二刀流(ハイブリッド)の治療」です。
「薬を飲んでいるけど、なんとなくスッキリしない」
「薬の量が増えていくのが不安」
そんな方は、今のお薬にプラスして、ビタミンDとAを取り入れてみてください。
「あれ?今年はなんだか楽かも?」と感じられる瞬間が、きっと来るはずです。
4. まずは一歩、試してみませんか?
「自分にはどれくらい必要なの?」
「子供にも飲ませて大丈夫?」
サプリメントは、ただ飲めばいいというものではありません。
特にビタミンDは、花粉症対策として使う場合、一般的な量よりも少し多めに摂ることで効果を発揮するケースが多いです(血中濃度50〜80ng/mLが目安とされる報告もあります)。
まずは、ご家庭でできることから始めてみましょう。
4.1. 食事でできること
ビタミンDとビタミンAは、食品から摂るのが意外と難しい栄養素ですが、意識することで少しずつ底上げできます。
【ビタミンD(免疫調整)】
魚類: 鮭(サケ)、しらす、イワシ、サンマなど
キノコ類: きくらげ、干し椎茸など(日光に当てたものがおすすめ)
【ビタミンA(粘膜バリア)】
動物性(レチノール): うなぎ、レバー、卵黄など(吸収率が高い)
植物性(βカロテン): 人参、かぼちゃ、ほうれん草などの緑黄色野菜(油と一緒に摂ると吸収アップ)
4.2. 日光浴でできること
ビタミンDは、日光(紫外線)を浴びることで皮膚で作られる唯一のビタミンです。
手のひら日光浴: 1日15分〜30分程度、手のひらを太陽にかざすだけでも効果があります。
注意点: ガラス越しでは紫外線がカットされてしまうため、窓を開けるか、外に出る必要があります。
4.3. それでも足りない時は…
食事や日光浴だけでは、現代人の生活スタイルではどうしても不足しがちなのが現実です。
特に、花粉症の症状を抑えるために必要な血中濃度を目指すには、サプリメントの活用が近道です。
当院の栄養外来では、詳細な血液検査で今の数値を測ることもできますし、まずは検査なしで「花粉症対策セット」として、医師が選んだ医療用サプリメントを試していただくことも可能です。
詳しい飲み方や、あなたのお子さんに合った量は、診察室でお話ししましょう。
この春は、ティッシュの山とサヨナラして、スッキリとした気分で新生活を迎えましょう!
5. よくあるご質問(Q&A)
Q. ヨーグルトは花粉症にいいと聞きますが?
A. 腸内環境を整えるという意味では良いですが、選び方が大切です。砂糖がたっぷり入った甘いヨーグルトは、逆に腸内の悪玉菌のエサになり、炎症を助長してしまうことがあります。無糖のものを選び、オリゴ糖やフルーツで甘みを足すのがおすすめです。また、日本人の一部には乳製品が合わない体質の方もいますので、食べてお腹が張るようなら無理に摂る必要はありません。
Q. いつから飲み始めればいいですか?
A. 理想的には、花粉が飛び始める1〜2ヶ月前から体作りをしておくのがベストです。しかし、症状が出てからでも遅くはありません。免疫の暴走をなだめる効果は期待できますので、思い立ったその日から始めてみてください。
Q. 子供でもサプリを飲めますか?
A. はい、飲めます。ただし、大人用のものをそのままあげるのは量や形状の面で難しい場合があります。当院では、小さなお子さんでも飲みやすい小さなカプセル、粉(パウダー)など、お子さんの年齢に合わせた医療用サプリメントをご用意しています。
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「うちの子はどうだろう」と確かめてみたい方へ
ビタミンDなど免疫の材料の状態は、血液検査で確かめられます。当院の子どもの栄養外来(分子栄養学外来)では、これまでの症状の出方・食べ方・便の様子までうかがったうえで、お子さん一人ひとりに合わせて組み立てていきます。
ご予約は、当院ホームページの予約システム(デジスマ診療アプリ)から承っています。
すでに通院中の方へ:体の材料の変化は、数ヶ月かけて少しずつ表れます。3ヶ月目の再検査で、ここまでの変化と次の一歩を一緒に確かめましょう。
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小児外科医 小森広嗣🩺栄養×お腹 @KomoriKodomoCL
この記事の執筆・監修者
小森こどもクリニック 院長 小森 広嗣(こもり こうじ)
小児外科専門医・指導医、医学博士。慶應義塾大学医学部卒業後、東京都立小児総合医療センター外科医長などを経て、小森こどもクリニックを開院。小児外科の出身として、いまは地域の中で、お腹と栄養の外来を深く追求している。
「成長の感動や喜びをお子さん・ご家族と分かち合い、楽しく安心して子育てができる社会を創る」ことを自身のビジョンとし、診療と情報発信の両輪で活動している。
▶ 著書:『うんちが出ない!』(英智舎・2026年12月9日発売)
▶ 取材・講演のお問い合わせ:press@komori-kodomo.com