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【子どもの便秘】酸化マグネシウム(カマ)を長く内服しているのだけど高マグネシウム血症(中毒)の心配はないでしょうか?

【子どもの便秘】酸化マグネシウム(カマ)を長く内服しているのだけど高マグネシウム血症(中毒)の心配はないでしょうか?|小児科|栄養外来・便秘専門外来なら小森こどもクリニック|根本治療に対応

2022年3月30日

【子どもの便秘】酸化マグネシウム(カマ)を長く内服しているのだけど高マグネシウム血症(中毒)の心配はないでしょうか?

お子さんの便秘治療で酸化マグネシウム(カマ、重カマ、カマグ、マグミット、マグラックス)を処方された方へ。

「もう何ヶ月も飲んでいるけど、ずっと飲み続けて大丈夫?」「中毒にならないの? 高マグネシウム血症って怖い名前だけど…」

こうした不安から、このページにたどり着いた方も多いのではないでしょうか。お子さんのことを心配されるお気持ちは、とても自然で、大切なことです。

先に結論をお伝えします。

小児の酸化マグネシウムの内服は、極めて安全性が高い——これがガイドラインに基づく医学的な結論です。

この記事では、その根拠と、念のため知っておきたい注意点を、小児外科の専門医がわかりやすく解説します。あわせて、長く続けている親御さんからよくいただく「効かなくなってきたのでは?」「定期的に採血をしたほうがよいのでは?」という2つのご質問にもお答えします。

🎥【動画で解説】「様子見」と言われ続けてきたご家族へ

便秘がなかなか治らず行き場を失っている方へ。まずは小森院長からのメッセージ動画(約5分)をご覧ください。便秘治療の方向性についてお話ししています。

酸化マグネシウムは子どもに安全?——ガイドラインの結論

小児慢性便秘症診療ガイドライン(2015)では、以下のことが確認されています。

便秘以外に持病がなく、一般的な用法・用量で酸化マグネシウムの治療を受けているお子さんにおいて、国内外の論文や医薬品副作用データベースで高マグネシウム血症の報告はなかったと記載されています。

さらに、ガイドライン作成委員の先生方が、酸化マグネシウムを内服中のお子さんの血中マグネシウム濃度を実際に調べたところ、腎臓に問題がないお子さんでは、血中マグネシウム値が問題になるケースはなかったと報告されています。

現在までに報告されている高マグネシウム血症の患者さんのほとんどは、成人——特に高齢者で、もともと腎臓などに持病をもっておられる方です。

つまり、腎臓が正常に働いているお子さんであれば、酸化マグネシウムの長期内服を過度に心配する必要はありません。

なぜ安全なのか?——体の「排泄メカニズム」

通常、酸化マグネシウムを多く摂取しても、余分なマグネシウムは体の中で自然に処理されます。その流れを簡単にご説明します。

① お薬として飲む
酸化マグネシウムが胃で溶け、腸に届きます。

② 腸で水分を集める
腸の中に水分を引き寄せることで、便を柔らかくします。これがカマの「便秘薬」としての働きです。

③ 一部が血液に吸収される
腸から少量のマグネシウムが血液中に吸収されます。

④ 腎臓がろ過して尿で排出
血液中の余分なマグネシウムは、腎臓がしっかりろ過して、おしっこ(尿)として体の外に出します。

腎臓が正常に働いている状態では、このろ過機能が十分に働くため、基準値を少し超える程度では問題になりません。カマを内服していると正常値をわずかに超えることはありますが、問題になるレベルになることは極めて少ないと言えます。

高マグネシウム血症とは?——念のため知っておきたい基礎知識

血中のマグネシウム濃度が基準値を超えた状態をいいます。(正常基準値は1.6〜2.6mg/dLと報告されています)

リスクが上がるのは「腎機能に問題がある場合」

高マグネシウム血症は、軽度の上昇では症状が出現しません。問題があるレベルになると、以下のような症状が段階的に現れます。

血中マグネシウム 5mg/dL超 → 嘔吐、筋脱力、傾眠、徐脈、低血圧

12mg/dL以上 → 意識混濁・消失、呼吸筋麻痺

15mg/dL超 → 心停止に至ることもあります

ただし繰り返しますが、腎臓が正常なお子さんが通常量のカマを内服している限り、これらの数値に達することは考えにくいとされています。

念のための注意サイン

腎機能障害がある方や高齢の方は、以下の症状に注意してください。

✔️ 頭痛・吐き気・嘔吐
✔️ たちくらみ・めまい
✔️ 脈がおそくなる
✔️ 体がだるい、力が入りにくくなる
✔️ 眠気でぼんやりする、うとうとする

お子さんで上記の症状が気になる場合は、念のため主治医にご相談ください。

「最近、効きが悪くなってきた気がします」——それは耐性ではありません

長く続けている親御さんから、安全性の次によくいただく心配がこれです。

「飲み始めた頃はスッと出ていたのに、最近は同じ量でも出ない日がある。体が薬に慣れてしまったのではないでしょうか」

結論からお伝えします。酸化マグネシウムに耐性はつきません。

酸化マグネシウムは、腸のはたらきを刺激して動かす薬ではありません。先ほどご説明したとおり、腸の中に水分を引き寄せて、便をやわらかく、すべりやすくしておくための薬です。腸を刺激して慣れさせる、という作用そのものを持っていないのです。ですから、「毎日飲んだから効かなくなる」「だんだん量を増やさないと効かない体になる」という心配は要りません。

では、なぜ「効きにくくなった」と感じるのか

効きが変わったように見えるとき、変わっているのは薬ではなく、お子さんのほうです。

・体が大きくなった — 同じ量でも、体が育てば相対的に足りなくなります
・腸そのものが育ってきた — 腸の長さも動き方も、この時期は日々変わっていきます
・食べているものが変わった — 水分の量、食べる量、季節、園や学校の生活リズム
・排便のタイミングが変わった — 我慢する時間が長くなると、それだけ便は硬くなります

つまり「薬が効かなくなった」のではなく、薬の量が今のお子さんに合わなくなってきたということです。

これは、失敗でも後戻りでもありません。補助輪の高さを、育った身長に合わせて直すのと同じことです。

だから、増やすことも減らすこともできます

耐性がないということは、こういうことでもあります。

**増やしても、体が薬漬けになっていくわけではありません。**出にくい時期に量を足すのは、正しい調整です。

**そして、減らすこともできます。**自分で出す力がついてくれば、量は下げていけます。実際、当院では便が安定してきたお子さんの薬を、少しずつ減らしていきます。ここが、酸化マグネシウムという薬のいちばん扱いやすいところです。

ただし、量の調整は診察の中で一緒に決めていきます。「効かなくなってきた気がする」と感じたら、増やすか減らすかを自己判断せず、そのまま診察でお聞かせください。その気づき自体が、次の一手を決めるための大事な材料になります。

定期的に血液検査をしたほうがよいのでしょうか

「長く飲むのなら、念のため定期的に採血をして、マグネシウムの値を見ておいたほうがよいのでは」

これも、よくいただくご質問です。

**腎臓のはたらきに問題のないお子さんであれば、定期的な血液検査は必要ありません。**これが当院の方針です。

理由は、この記事でここまでお伝えしてきたことと同じです。酸化マグネシウムはもともと腸から吸収されにくく、体に入ったぶんも腎臓から尿へ出ていきます。入り口が狭く、出口が開いている。だから、腎臓が普通に働いているかぎり、体の中に溜まっていくということが起こりにくいのです。

採血で値を追いかける意味があるのは、その出口のほうに事情があるお子さんです。

・腎臓の病気があると言われている場合
・ほかのご病気の治療を続けていて、定期的に採血をしている場合
・体調を大きく崩したり、脱水を伴う状態が続いたりしている場合

こうしたお子さんでは、私たちも値を確認しながら進めます。逆に言えば、それ以外の元気なお子さんに、便秘の薬のためだけの採血をお願いすることはありません。採血は、お子さんにとってはそれなりに大きな出来事です。必要のない検査を「念のため」で重ねないことも、私たちの仕事だと考えています。

見ていただきたいのは、数字ではなく様子です

採血で定期的に数字を追いかける代わりに、ご家庭で見ていただきたいのは、お子さんの様子です。

先ほどの「念のための注意サイン」——ぐったりして元気がない、吐き気が続く、たちくらみ、体に力が入りにくい、眠そうにぼんやりしている——こうした様子が続くようであれば、便秘の薬とは別の原因も含めて、一度ご相談ください。

数字を定期的に測ることよりも、日々の様子を見ていただくことのほうが、確かなサインになります。

便秘治療がうまくいくための「3つのポイント」

酸化マグネシウムの安全性がわかったところで、便秘治療全体の「うまくいくコツ」をお伝えします。

① 決められた量をキッチリ飲む

便秘の治療は、まず「処方どおりに薬を飲むこと」から始まります。自己判断で量を減らしたり、やめたりしないことが大切です。

②「うまくいっている」を基準にする

「うまくいっている」とは、毎日、すんなり、すっきり、しっかり排便ができていることです。この状態を維持できているなら、安心して治療を続けましょう。

③ うまくいっていないと感じたら、主治医に相談する

便秘の治療は、根気と時間がかかります。だからこそ、正しいレール「=うまくいっている」の上で治療を継続することが大事です。今の治療がうまくいっていないと感じる場合には、遠慮なく主治医に相談してください。

▶ 当院の小児便秘外来の受診について

便秘治療をもっと詳しく知りたい方へ

当院のブログでは、便秘治療に関するさまざまなテーマを解説しています。

▶ 便秘治療はいつまで?治療のゴール設定と方針の考え方
「薬をやめるタイミング」「治療のゴールをどう設定するか」が気になる方はこちらをご覧ください。

▶ 排便習慣を身につける行動認知療法のアプローチ
薬だけでなく、考え方と行動の面から便秘を改善する方法を解説しています。

▶ 食事量が少なくても便秘に注意すべき理由
「食べる量が少ないから便が出なくても仕方ない」は誤解です。その理由を解説しています。

マグネシウムだけではない——便秘と「ミネラルバランス」の話

ここまでお読みいただき、酸化マグネシウムの安全性についてはご安心いただけたかと思います。

最後に、もう一歩踏み込んだ視点をお伝えします。

実は、マグネシウムは体内で300以上の酵素反応に関わる重要なミネラルです。便秘の治療で使う量は安全ですが、鉄・亜鉛・ビタミンDなど他のミネラル・栄養素も含めた全体のバランスを見ることで、便秘の改善だけでなく、お子さんの体調全体をサポートできます。

「薬で出す」だけでなく、「腸が本来の力を取り戻す」ためには、栄養面の土台づくりも大切です。当院の分子栄養学外来では、血液検査でミネラルバランスを含めた栄養状態を評価し、便秘治療と栄養の両輪でお子さんをサポートしています。

▶ 子どもの不調を栄養で改善|当院の分子栄養学・詳しい治療の流れと費用

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小森広嗣|こどもの栄養とお腹の専門医🌱 @KomoriKodomoCL

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この記事の執筆・監修者

小森こどもクリニック 院長 小森 広嗣(こもり こうじ)

慶應義塾大学医学部卒。都立小児総合医療センター外科医長などを経て小森こどもクリニックを開院。小児科医・小児外科専門医として数多くのおなか(消化管)の手術や治療に携わり、「こどものお腹のスペシャリスト」として消化管の構造と機能に精通する。

自身や家族の不調が栄養療法で改善した手応えから、「西洋医学だけでは届かない不調」の解決策として「栄養」の重要性を確信。「吸収の場である腸」と「体の材料となる栄養」の両面から、標準治療と分子栄養学を柔軟に組み合わせ、その子の体の土台を根本から整える「統合的な医療」を実践している。日本小児外科学会認定専門医・指導医、医学博士。

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