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赤ちゃんのうんちが緩いときに、乳糖不耐症のことをどのくらい心配すべきなのでしょうか?

乳糖不耐症とは

ミルクや母乳に含まれる「乳糖」は、小腸に存在する「ラクターゼ
によって分解され、腸から吸収される形になります。
この「ラクターゼ」の活性が低下すると、乳糖が分解されないため
下痢を引き起こします。
このような状態を、乳糖不耐症といいます

ラクターゼ活性の低下が起きる原因

先天的(生まれつき)に酵素が作れない場合と、
後天的(生まれたあと)に酵素活性が低下する場合とあります。
先天的な酵素欠損は極めて稀で、症状も重く、
生まれてはじめてミルクを飲んだ時から発症します。
多くのお子さんは、後天的な原因がほとんどだと考えます。
後天的な理由を以下に述べていきたいと思います。

ラクターゼ活性の自然歴

人では、生後の一定期間はラクターゼ活性は非常に高いのですが、
授乳期を過ぎると、体の自然な仕組みにより、酵素活性が低下しまてきます。
ミルクは飲まなくなるので、不要な機能は低下するという理屈です。
年齢を経るに従って、次第に弱くるなっていきます。
これは、「生まれてすぐは大丈夫だったのに、少し大きくなって弱くなる」
場合もあるということです。

ラクターゼ活性の個人差

「ラクターゼ」の量には個人差があります。
酵素を多く持っていれば、普段は症状がほぼ出ない場合や、
軽い下痢ですむ場合もあれば、酵素が少ないと、
強い下痢体重減少をきたす場合もあります。

腸炎(おなかの風邪)では、ラクターゼ活性が低下します

お腹の風邪をひくと、腸の粘膜がただれますので、
ラクターゼ活性は弱くなります。
ラクターゼの量が少ないお子さんだと、
ちょっとした「胃腸炎」で更にラクターゼ活性が減り
予想以上に下痢が長引いてしまうことがあります。
「ウイルス性腸炎」自体は治ったのに、2、3週間しても
なかなか「下痢」がおさまらないお子さんが、
このような状況の可能性はあります。

前は大丈夫だったのに、今回下痢が長引くのはなぜ?

元々の酵素の量の個人差に加え、年齢を経ることで
酵素活性の低下は避けられません。
そこに胃腸炎を発症すると、前は大丈夫だったけど、今回はひどい下痢、
という状況もあるのかもしれません。

乳糖不耐症のことをどくらい心配するのでしょうか?

腸炎からの粘膜の回復には時間がかかるので、
うんちの回数が多少多くても、。
食欲があり、体重が増えていたら(少なくとも減っていない)、
ひとまずは経過をみて大丈夫
です。
また、下痢でお尻がかぶれないようにケアすることも大事です。
中には1ヶ月くらい回復までに時間がかかることもあります

もちろん、症状が強い場合(熱、腹痛、血便)には、
感染症が長引いていないか、他の病気はないか、
お薬の調整やミルクや食事の工夫が必要となります。

全体の経過をよくみながら判断していく必要がありますので、
定期的な受診を受けていきましょうね。

院長 小森 広嗣
記事監修
院長 小森 広嗣
(こもり こうじ)

慶應義塾大学医学部卒業
小児外科学会専門医、小児外科指導医、医学博士

小森こどもクリニックでは、成長の感動や喜びをお子さん ご家族と分かち合い、楽しく安心して子育ができる社会を創ることをビジョンに活動しています。

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