便秘の診断に、排便回数を指標とする考え方は一般的ですが、現実的には、排便回数は個人差が多く、診断基準も厳密なものがあるわけでもありません。
「治療をする必要がある便秘」かどうかの判断において、排便回数だけでは決められないというのが、現実的で現場の実情だと思います。
多くの現場では、明確な指標がないので、何となく様子を見たり、お薬を飲んで治療をしてみたり、、迷われて治療を行っている場合もあるでは、と想像します
結論からお伝えします。
「直腸の太さから判断」をする方法が大事です。
最終的には、治療をするかどうかは、全体像で判断をしますが、「直腸の太さ」は重要な指標の一つと考えていますので、今日はこの部分についての考え方をお伝えいたします。
「うんち」は、直腸に溜めておいて、タイミングで排便をします。
「うんち」を直腸に貯めていくと、次第に直腸は膨らんでいくことになります。
★収縮する力が弱まります!
うんちを貯めていくと、次第に直腸が、慢性的に膨らんだ状態となります。一旦、直腸がブヨブヨに伸びきってしまうと、収縮する力が弱まってしまいます。いざ、うんちが溜まっても、瞬発的に収縮して排便が出せなくなってしまいます。伸びすぎてしまって、縮む力が失われた状態です。
そして、一旦、直腸がブヨブヨに伸びきってしまうと、そう簡単には元に戻れなくなります。
★溜まった感覚が弱まります!
もう一つ、直腸が伸びてしまうと、感覚も鈍ってしまいます。うんちが溜まっているのに、そのことを感じる力が弱くなってしまうということも、大事なことです。
一般論をお話しますと、直腸の太まりの目安として
毎日排便していれば、直腸が膨らむ前に排便していることが多く、大丈夫なことが多いとは言えます。
便秘外来では、分かりやすくするため、このように伝えています。
「理想は毎日、2日に1回はよしとして、3日出ないのは注意しましょう!」
一方、3日貯めれば、それだけ直腸が膨らんだ後に排便をすることになります。もしかすると、直腸の感覚や収縮する力がどんどん悪くなってく可能性もあると言えます。
実際の現場であることとして、
3日に1回の排便であっても、直腸がスリムで保たれていれば、その子にとっては適切な排便と言えます。
2日に1回の排便でも、直腸が常に太い状態だと分かれば、いずれ、将来、慢性便秘になってしまう場合もあると言えます。
この状態が、慢性の便秘になってしまった、、という状態です。
ですので、伸びてしまわないように、治療、排便トレーニングを早々に開始することが大事です。これ以上ブヨブヨにしないように、太くなってしまった直腸を、時間をかけて、スリムな直腸へと戻していくように治療をしていく必要があります。
今は日常生活に支障もないし、便はそれなりにでているからうちの子は大丈夫と思っていても、気づかぬうちに直腸は膨らんでいき、慢性便秘へと移行する可能性もあるので、特に2日に1回以上のペースでしか出ていないお子さんは、一度は検査をして、直腸の評価を受けていただいたほうが安全と考えています。
検査はエコー検査やレントゲン検査で判断をします。
もし直腸が太くなりはじめていたら、
少しでも早く、排便練習を開始していきたいと思っています。
浣腸トレーニングをベースに行なっていきます。
練習のゴールは、直腸をスリムな状態に戻して、収縮力と感覚を取り戻すことです。
そして、最終的には排便のことでは困らない生活を目指し、生活を快適なものにしていきましょう。
🔹赤ちゃんや子どもの便秘は オーダーメイドの治療方針が成功への鍵
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
【医院名】小森こどもクリニック
【住所】〒185-0011
東京都国分寺市本多2-3-3国分寺市商工会館4F
【電話番号】042-322-5585
【診療日・時間】
月~金9:00~12:00/14:00~18:00
土 9:00~13:00
【休診日】水・日・祝日
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
慶應義塾大学医学部卒業
小児外科学会専門医、小児外科指導医、医学博士
小森こどもクリニックでは、成長の感動や喜びをお子さん ご家族と分かち合い、楽しく安心して子育ができる社会を創ることをビジョンに活動しています。