
2026年10月17日更新
便秘の治療に使われるお薬「モビコール」の出荷が、全国的に限られています。メーカーの案内による現在の状況と、当院での処方の進め方をお知らせします。
当院の近くの薬局でも、モビコールの在庫がない状態が出てきています。そのため、受診の日にモビコールをお出しできないことがあります。そのうえで、いちばんお伝えしたいことです。モビコールが手に入りにくくても、便秘の治療を続ける方法はあります。いま飲んでいるお薬は、ご自身の判断でやめたり、量を減らしたりせず、続けてください。
メーカーの案内による現在の状況
製造販売元のEAファーマ株式会社は、2026年10月に「モビコール配合内用剤LD/HDの供給に関するお知らせ」(改訂版)を出しています。主な内容は次のとおりです。
・海外の製造所が、現地の規制当局の査察で品質の仕組みについて指摘を受け、是正のために製造と出荷を一時的に止めている
・お子さんがふだん飲んでいる「LD」という種類は、2027年6月ごろまで、小児の患者さんに限って出荷が続けられる
・大人に多く使われる「HD」という種類は、2026年12月から2027年6月ごろまで出荷が止まる
・小児の患者さんへの供給を優先しているが、供給量に限りがある場合がある
・出荷の再開は2027年6月ごろの見込み(今後の状況により変わる可能性がある)
これまでに出荷された製品については、有効性・安全性に影響する問題は確認されていない、とメーカーは説明しています。お手元のお薬は、そのまま飲んでいただいて問題ありません。
LDは出荷が続いていますが、量に限りがあり、薬局には少しずつしか入ってきません。薬局の在庫は全国的に少ない状況で、当院の近くの薬局でも、すでに在庫がない状態が出てきています。
当院での処方について
受診の日に、モビコールをお出しできないことがあります
当院の近くの薬局には、モビコールが少しずつ納品される予定です。ただし、いつ・どれだけ入るかは、お約束できない状況です。
そのため、受診の日の在庫によっては、「今回はモビコールをお出しできません」とご案内することがあります。同じ時期に受診された方でも、受け取れる方と、受け取れない方が出ることがあります。ご不便をおかけしますが、ご理解をお願いいたします。
お出しできないときも、治療が止まらないよう、別のお薬をご提案します。
処方の進め方
当院は便秘の専門外来を行っており、モビコールを使っているお子さんが多くいらっしゃいます。当院でも、モビコールを十分な量お出しできる状況ではありません。なるべく多くのお子さんに治療が届くよう、しばらくの間、次のように進めます。
・一度にお出しする量を、調整させていただきます
・経過によっては、別のお薬をご提案することがあります
お近くの薬局で受け取れる場合や、お近くの医療機関で処方を受けられる場合は、ひとまずそちらをご利用いただいて構いません。
治療を続ける道は、ひとつではありません
出荷の再開は「見込み」であり、それまでのあいだ、モビコールが行き渡りにくい状態が続く可能性があります。当院では、この状況が長く続くことも前提にして、治療を進めていきます。
モビコールは良いお薬で、合っているお子さんも多くいます。一方で、便秘のお薬はほかにもいくつかの種類があり、作用の仕方、味、飲む量がそれぞれ異なります。どれが合うかは、お子さんによって違います。当院では、もともと飲みやすさ・続けやすさを考えてお薬を選び、合うお子さんにモビコールを使ってきました。ほかのお薬で治療を続けているお子さんも、たくさんいます。
手に入りやすいお薬に切り替えることには、途中で途切れる心配なく、同じ治療を続けられるという良さがあります。入荷を待つあいだに治療が止まってしまうことのほうが、お子さんにとっては負担になります。便秘は、出ない日が続くと便が硬くなり、痛みからさらに我慢が続く、という悪循環に入りやすいためです。
また、溜まった便を出し切ること、毎日のリズムをつくること、トイレに座る練習を重ねることは、お薬が替わってもそのまま続いていきます。治療の柱は、お薬だけではありません。
便秘の治療は長い道のりです。そのときどきの状況に合わせて、よりよい方法を選びながら進めていきます。
お薬を替えるときの進め方
別のお薬をご提案するときは、様子を見ながら進めます。
・はじめは少しの量から試し、合うかどうかを確かめます
・問題がなければ、そのまま続けます
・遠方から通院されている方には、次の受診まで、ご家庭で様子を見ていただくことがあります
お薬が替わってしばらくは、便が硬くなったり、ゆるくなったりと、揺れることがあります。新しいお薬に体が慣れていく途中でよく見られることです。数日の変化で判断せず、1〜2週間の流れで見ていきます。
よくいただくご質問
いまモビコールを飲んでいるお子さんのご家族から、よくいただくご質問をまとめました。最後に、ほかのお薬で治療中の方へのご質問も載せています。
モビコールから別のお薬に替えても、大丈夫ですか?
お子さんによっては、いまはモビコールがいちばん合っているかもしれません。それでも、モビコールがないからといって、排便のコントロールがつかなくなるわけではありません。選べるほかのお薬で、排便のリズムをしっかり整えていくことは、多くの場合できます。
替えるときは、少しの量から試し、効き方を確かめながら量を整えていきます。替えてすぐに判断せず、1〜2週間の流れで見ていきます。いまの状況の中で選べる方法で、前向きに進めていきましょう。
前回は受け取れたのに、今回は受け取れないのはなぜですか?
薬局への納品が少しずつで、その日の在庫によって変わるためです。お一人おひとりにお約束ができない状況で、ご不便をおかけします。受け取れないときは、別のお薬で治療を続けられるようにご提案します。
多めにもらっておくことはできますか?
いまは全国的に出荷が限られています。いまあるお薬を、なるべく多くのお子さんで、無理のない範囲で分け合うことが大切だと考えています。そのため、当院でも多めのお渡しは控えています。必要なお子さんに届くよう、ご協力をお願いいたします。
薬局を何軒も探して回ったほうがよいですか?
無理に探して回らなくて大丈夫です。手に入るお薬で、治療は続けられます。お近くで受け取れたときは、そのまま使っていただいて構いません。
いつまで続きますか?
メーカーは、出荷の再開を2027年6月ごろと見込んでいます。ただし変わる可能性があるため、当院では長く続くことも前提に治療を進めます。状況が変わりましたら、このページでお知らせします。
モビコール以外のお薬で治療中です。影響はありますか?
このお知らせは、モビコールについてのものです。いま飲んでいるお薬は、これまでどおり続けてください。ほかのお薬でも出荷の状況が変わることがありますが、その場合も、診察で相談しながら進めていきます。
ご家族へのお願い
・お薬は、ご自身の判断でやめたり、量を減らしたりせず、続けてください
・量の調整やお薬の切り替えは、診察で確かめながら一緒に決めていきます
・お腹が強く痛む、吐く、お腹がふくれて苦しそう、といった急ぐ症状があるときは、次の受診を待たず、お電話のうえ受診してください
ほかの医療機関で治療中の方へ
まずは、いまの主治医の先生とご相談ください。お薬が手に入りにくいことも含めて、お話しいただくのがよいと思います。
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まとめ
・モビコールは、メーカーの製造の事情で、2027年6月ごろまで出荷が限られる見込みです
・当院の近くの薬局でも在庫がない状態が出ており、受診の日にモビコールをお出しできないことがあります。納品は少しずつ続く予定ですが、お約束はできません
・当院では、なるべく多くのお子さんに治療が届くよう、処方量を調整し、経過によって別のお薬をご提案します
・お近くで受け取れる・処方を受けられる場合は、ひとまずそちらをご利用いただいて構いません
・お薬が替わっても、治療は続けられます。そのときの状況に合わせて、よりよい方法を選びながら進めていきます
便秘の治療は、ご家族と一緒に進める長い道のりです。お薬の状況が変わっても、お子さんに合う道を、一緒に選んでいきましょう。状況が変わりましたら、このページを更新してお知らせします。
(参考)EAファーマ株式会社「モビコール配合内用剤LD/HDの供給に関するお知らせ」(2026年10月改訂)
便秘でお悩みの方へ:栄養面からのサポート
当院では、お腹の専門医(小児外科専門医)としての知見を活かした栄養外来を行っています。
便秘を繰り返すお子さんは、腸内環境だけでなく、鉄・亜鉛・ビタミンDなどの栄養素が不足しているケースが非常に多いことが分かっています。「腸」と「栄養」の両面からアプローチすることで、お子さんの体の土台を根本から整えていきます。
栄養外来では、血液検査で「隠れた栄養の不足」を確かめたうえで、お子さん一人ひとりに合わせた食事とサプリメントの戦略を組み立てます。食事療法を頑張っても動かなかった便秘が、栄養を補うことで動き出すことは、めずらしくありません。
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小森広嗣|こどもの栄養とお腹の専門医🌱 @KomoriKodomoCL
受診をご希望の方へ
① まずは便秘専門外来へ(保険診療/Web予約)
多くのお子さんの便秘は、まず 便秘専門外来(保険診療) でご対応できます。院長は日々多くのお子さんの便秘診療にあたっており、初診・再診ともにWeb予約・Web問診からスムーズにご受診いただけます。
② 遠方にお住まいの方へ
便秘の診療は、お腹の触診や必要に応じたレントゲンで「いま直腸に便が溜まっているか」を確かめることが出発点になります。そのため、初回はできるだけご来院いただくのが確実です。そのうえで、通院が難しい距離にお住まいの方には、状況に応じて対面とオンラインを組み合わせたご相談も行っています。オンラインは専用の予約枠を設けていないため、まずはお電話(042-322-5585)でご相談ください。
③ 生まれつきの病気・手術後で、排泄と生活の設計を相談したい方へ
鎖肛・ヒルシュスプルング病・二分脊椎などで、学校での排泄管理、プールや修学旅行、そして将来の進路まで含めて考えたい——そうしたご家族のために、セカンドオピニオン外来(自費診療・完全予約制/お電話でご予約) をご用意しています。治療そのものではなく「この子とご家族の人生の設計」を一緒に描く場です。対面のほか、全国・海外からのオンラインにも対応しています。(診察・検査・処方は行わない、相談専用の外来です。)
なお、手術歴がなくても、長く改善しない便秘について別の視点からのご意見をお聞きになりたい場合は、ご相談いただけます。
④ 海外にお住まいのご家庭へ
海外にお住まいで、日本語で専門的なアドバイスを受けたい方には、便秘・排泄のオンライン相談(自費・完全予約制) をご用意しています。お電話(042-322-5585)またはメールで「海外在住者向けオンライン相談を希望」とお伝えください。
この記事の執筆・監修者
小森こどもクリニック 院長 小森 広嗣(こもり こうじ)
慶應義塾大学医学部を卒業後、東京都立小児総合医療センター外科医長などを経て、東京都国分寺市に「小森こどもクリニック」を開設。現在は、日本でも珍しい小児外科専門医が開設する「便秘専門クリニック」として、年間5,000人が受診する便秘専門外来を行っている。その実績から、都内のみならず遠方や海外からの受診・相談も多く、セカンドオピニオンも積極的に受け入れている。丁寧な対話を通じてご家族と「治療のゴール」を共有し、一人ひとりの状況に合わせて治療戦略をカスタマイズする、オーダーメイドの診療スタイルを実践している。日本小児外科学会認定の小児外科専門医・指導医、医学博士。
「成長の感動や喜びをお子さん・ご家族と分かち合い、楽しく安心して子育てができる社会を創る」ことを自身のビジョンとし、診療や情報発信を行っている。
▶ 著書:『うんちが出ない!』(英智舎・2026年12月9日発売)
▶ メディア掲載:VERY web「うちの子トイレでうんちができないんです」問題
▶ 取材・講演のお問い合わせ:press@komori-kodomo.com
参考文献
日本小児栄養消化器肝臓学会, 日本小児消化管機能研究会 編. 小児慢性機能性便秘症診療ガイドライン. 診断と治療社, 2013.




