便秘の治療|小森こどもクリニックのこどもの便秘専門サイト|国分寺市の小児科クリニック

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便秘の治療

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便秘治療の心得

便秘の治療

大きくなった時に、「うんちのことでは困らない」「他の大事なことに集中していける」ように、成長の段階に合わせて、排便の状態を把握し、バランスのある治療計画とトレーニングをしていくことが大切です。
「何日おきに排便していれば大丈夫」という考え方ではなく、わが子にとっての「排便トレーニングの目標」を常に明確にしながら治療を進めていきます。

「そもそも便秘なのだろうか?」と思われているご家族もいらっしゃるでしょうし、「一向に便秘がよくならないのだけど、今のままでいいのだろうか?」と不安で、根負けしそうなお気持ちのご家族もいらっしゃると思います。
その子の成長の段階に合わせて全体像をとらえ、まずは治療が必要な便秘かどうかの判断をします。そして、治療が必要な便秘と判断したら、治療の目的や方向性を明確にします。こうすることで、「治療の軸」がブレることがなくなりますので、自信を持って、排便トレーニングをすすめることができると思っています。

今は治療が必要がなくても、成長やライフスタイルの変化で、便秘の治療が必要になってくるがある場合もありますので、定期的に見直しの判断をしていくこともとても大切です。

便秘治療はチームで乗り切る!

便秘治療にはお子さんの頑張りも大切ですが、ご家族の頑張りが何より大切です。すぐには結果が出ない便秘治療の中で日々の悩みや不安を解消し、納得しながら進めていきましょう。
こどもたちもご家族も前向きに治療を続けていけるよう、スタッフ一同でしっかりサポートしていきます。

他の子と比較せずうちの子のペースでじっくり治療

小児便秘は個人差が多く、他のお子さんと比較しても参考になりません。
便秘の治療は長期戦です。もっと早く治せる治療、もっと良い治療があるのではと治療探しはせず、正しい治療のルールでじっくり腰を据えて治療に専念し、一人前の排便力を身につけていきましょう。
便秘外来では定期的に現在の便秘の状態、治療の進み具合(排便力)をチェックし、それに合わせて治療の調整、修正を続けていきます。長期にわたる治療の中で「治療の軸」がぶれてしまわないように、ゴールに向けて正しい方向へ進めるようにお手伝いを続けていきますので、心配なことがありましたら私たちスタッフにお気軽に相談してください。

便秘に治療は必要?

便秘を放置するとどうなるの?

こどもの便秘の問題点は、発育やQOL(生活の質)に影響を及ぼす可能性があることです。便をためる癖がついてしまうと、便を出す力が身につきにくく、排便や排尿に関するトイレトレーニングにも影響します
排便を好きになれず、「排便=辛いもの」と捉えてしまったり、お腹やお尻にずっと不快感を抱えながら生活することは、こどもにとって大きな障壁となり、集団生活や社会生活、学業にも影響を及ぼしてしまうこともあります。小学校までにおむつが外れない、便が漏れてしまう、漏れても気にしなくなる、プールに入れないなど、お子さんの生活の様々な場面に支障をきたすことも考えられます。

 

少し大袈裟に聞こえるかもしれませんが、慢性化した便秘の症状を放っておくと、どんどん深刻化してしまい、腸が異常にふくらむ「巨大結腸症」や、便が漏れつづける「遺糞症(便失禁)」になってしまう可能性もあるのです。
また、便秘外来を受診するお子さんのなかには、便秘のせいでいつも食欲がなく、顔色が悪かったり痩せたりしている子もいますが、便秘が解消することで改善する場合も少なくありません。
便秘によって排便機能の成長が阻害されてしまうと、成人以降もずっと便秘に悩みつづけることになる可能性が高いため、早いうちに適切な対処をしていくことがとても大切です

食事について

無理のない範囲でバランスのよい食生活を

こどもの便秘も大人の便秘同様、食事に気をつけることや生活習慣の改善が役立つことがあります。ただし、効果は人それぞれ。ある方法によって便が出るようになるこどももいれば、そうでないこどももいます。一定の期間試してみても変化がなければ、ほかの方法を試してみる必要があるかもしれません。
たとえば、食物繊維が豊富な食材や乳酸菌が含まれている発酵食品は、便通によいとされていますが、特定の食材にこだわり過ぎることなく、できる範囲でバランスよく食べることを心がけましょう。また、便通によいからといって、こどもの嫌いな食べ物を無理に食べさせるのは、ストレスになるのでかえって逆効果な場合もあります。
便秘に対処していくうえで大切なのは、ひとつの解決方法に固執しすぎないこと。また、根気強く向き合っていくことも大切です。

こどもの好き嫌いが多く、野菜を食べてくれない…

必ずしも野菜にこだわる必要はなく、「バランスの取れた食事をする」ことが大切です。
お米や小麦、豆などの穀類や、果物からも食物繊維やビタミン類は摂れますので、本人が好きな食べ物で不足している栄養素を摂取できれば大丈夫です。
りんご、みかん、スイカ、桃、ブドウなど…季節の果物もおすすめです。

あまりお水を飲んでくれない…

脱水がなければ、水を飲まないからといって便秘がひどくなることはありません。
しかし、例えば夏場になるとうんちが硬くなるということがあれば、夏場は水分が不足することが多いので水分を多めに摂るようにしましょう。
水分を摂っても余分な水は全ておしっこで排出されてしまうので、おしっこが出ているような状況であれば脱水はありません。必要以上に「水分を摂りなさい」ということはお父さん、お母さんにとっても、そしてお子さんにとってもストレスになりかねません。

離乳食は進めても大丈夫?

離乳食は通常通り進めて大丈夫です。便秘を理由に進めないということは避けてください。

トイレトレーニングについて

毎日決まった同じ時間にうんちできるようになったほうが良いのでしょうか?

朝起きて、ご飯を食べた後にうんちをするというリズムができているのが理想です。ただ、本人の生活リズムやご家庭の事情もあると思いますので、必ずしも朝にこだわる必要はありません。いつでも大丈夫ですが、うんちをする時間「うんちタイム」を決めて同じ時間に排便できると生活リズムができて習慣化しやすいでしょう。
もしそれも難しければ1日のうち少なくとも1回、便意を感じたらすぐに排便する習慣が身についていればいいと思います。

「内服薬(飲み薬)」と「グリセリン浣腸」、どちらがいいの?

お子さん一人ひとり、治療法も違います。もし今の治療で「排便のリズムが作れている」ならば「内服薬」でも「グリセリン浣腸」でもどちらでも大丈夫です。

「排便のリズムが作れている」とは

  • 毎日から1日おきのスムーズな排便
  • スムーズな排便とは、便意を感じたらすんなり排便(5~10分くらいで)できている
  • 朝あるいは夕方の決まったタイミングで排便している
  • トイレで排便(3歳半くらいから)ができる

状態です。「排便のリズムが作れていない」のであれば、一度かかりつけの医師や便秘の専門外来でご相談ください。

お薬・サプリについて

保育園の他の子達はお薬やサプリですぐに良くなったのにうちの子には効かない…

こどもの便秘は個人差が多く、他のお子さんと比較しても参考になりません。
もっと良い治療があるのではと不安に思うかもしれません。しかし、便秘の治療は長期戦です。お子さんにとっての正しい治療にじっくりと腰を据えて専念することがとても大切です。

酸化マグネシウム(カマ)を長く内服しているのだけど高マグネシウム血症(中毒)の心配はない?

高マグネシウム血症とは、血中のマグネシウム濃度が基準値を超えることをいいます。(正常基準値は1.6~2.6mg/dLと報告されています。)
正常に腎臓が働いている状態では、体にとって余分なマグネシウムは尿へ排泄されるので、基準値を少し超える程度では問題になりません。カマを内服していると、正常値をわずかに超えることはありますが、問題になるレベルになることは極めて少ないと言えます。
小児の酸化マグネシウムの内服は極めて安全性が高いというのが結論です。
現在までに報告されている、高マグネシウム血症の患者さんのほとんどは成人、特に高齢者で、もともと腎臓などに病気をもっておられる方です。

お薬を飲んでうんちは出ているけど、これでいいの…?

「うんちは出ているけど2、3日に1回」「固くて出すのが大変で、痛くて断念することもある」「オムツでないと排便ができていない」など、実は排便に苦労している、ということでしたら、内服の治療の継続で本当に大丈夫か?を見直してみる必要があります。お子さんによっては、内服の内容を整理・調整をして継続すれば大丈夫な場合もあります。
ただし、内服治療も続けてこそ効果がでる場合もあります。
また、内服治療で、内服しているときはうまくいっているのだけど、長期戦の内服が不安で、内服の中断・再開を繰り返しながら、迷いながら治療をされている場合もお見受けします。長期的な見通しが見えないため不安になられていることも多くいらっしゃいます。トレーニングは時間がかかるものですので、長期の内服は覚悟で治療をすすめて行く必要があると言えます。
もし、内服治療での行き詰まりや不安を感じていらっしゃる場合や、治療の方向性がつかめない場合には一度医師にご相談ください。

グリセリン浣腸について

グリセリン浣腸をすれば、毎日、順調に排便できるようにはなりましたが、自分で踏ん張らなくなってしまいました。本当に大丈夫でしょうか?

答えは、「大丈夫です」「順調に排便リズムが作れている証(あかし)」です。
これまでの排便は、「自分で出せている」ように見えていても、「出し切る力はない」状態で、力不足のため、便詰まりの状態に向かってしまっていました。まだまだ「排便パワーが足りない」と言えます。ですから、グリセリン浣腸にサポートしてもらって、「しっかり出す」体験が必要です。
まずは、一人立ちするまで、しばらくは、浣腸にサポートしてもらって、「出し切る」ことはどういうことか、学び、練習を続けていくことが必要です。数か月のこともあれば数年単位かかることもありますが、その子のペースがあるので焦らず淡々と続けていくことが大切です。
「出せるかどうか」の力試し、負荷テストをしなくても、気づけば、自分でしっかり出せる日が増えてきます。とにかく便秘のトレーニングは時間がかかりますが一緒にじっくり取り組んでいきましょう!

グリセリン浣腸をする時間は朝と夜どちらがいい?

排便のタイミングは、「朝」でも「夜(夕)」のどちらでも問題ありません。なんとなく朝の排便がよい、と思っていらっしゃる方も多いと思いますが、実は根拠はありません。
夜のほうが時間が取れるご家族も多いと思います。迷わず、「夜(夕)」にグリセリン浣腸をお行ってください。そして、できるだけグリセリン浣腸をする時間帯を決めて、毎日を目標に、淡々と練習を続けましょう。

長い目で、例えば、小学生に上がったら、「朝」の排便リズムがよいとなれば、その時点から「朝」に時差を変更すればよいので、ご家族が、確実に取り組みやすい時間で行ってください。

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