2017年10月13日

監修:小児外科専門医 小森 広嗣(小森こどもクリニック院長)/最終更新:2026年9月30日
この記事のポイント
・ たまっていたうんちが出て「開通」したら、ここからが練習の本番です
・ 伸びていた直腸は、出たあともすぐには元に戻りません。溜めない毎日を続けることが大切です
・ ゴールまでの道のりを家族でイメージできていると、あわてずに続けられます
何日もたまっていたうんちが、ようやく出た。長いあいだ苦しんできたお子さんとご家族にとって、便秘が「開通」した日は、ほっとする大きな一歩です。
ただ、ここで知っておいていただきたいことがあります。開通は、ゴールではなく、練習のスタートラインだということです。
開通しても、直腸はすぐには元に戻らない
たまったうんちで押し広げられていた直腸は、ゴム風船のように伸びています。うんちが出たあとも、伸びた直腸はすぐには元の形に戻らず、押し出す力も、溜まったことを感じる感覚も、まだ弱いままです。
ここで「出たから大丈夫」と治療をやめてしまうと、また少しずつたまり、元の状態に戻ってしまうことが少なくありません。
まず「出す」、次に「育てる」
便秘の治療には、大きく2つの時期があります。
・ まず出す時期:たまったうんちを出し切り、溜めない状態をつくる
・ 育てる時期:毎日出し切るリズムを続け、伸びた直腸をスリムに戻し、自分で出す力を育てる
開通は、この「まず出す時期」が終わった合図です。ここから、じっくり「育てる時期」に入っていきます。
あわてずに続けられるご家族に、共通していること
開通を喜びながらも、「ここからが本番ですね」と落ち着いて受け止められるご家族には、共通点があります。ゴールまでの道のりを、あらかじめイメージできていることです。
当院では、治療を始めるときに、何度も次のことをお話ししています。
・ 便秘は、すぐによくなるものではないこと
・ 排便の練習には時間がかかり、年単位になることもあること
・ なぜ練習が必要なのか、その子に合った方法は何か
ゴールのイメージを外来のたびに共有していくと、ご家族が自分たちで見通しを持てるようになり、焦らず、ぶれずに治療と向き合えるようになっていきます。
最終目標は、うんちのことで困らない毎日
便秘の状態は、一人ひとり違います。当院では、その子に合った具体的な練習の方法を一緒に決め、ご家庭で自信をもって続けられるようにお手伝いしています。医師は道しるべであり、応援団です。
めざすのは、うんちのことで困らない毎日。開通の喜びを、そこへ向かう力に変えて、一緒にじっくり進んでいきましょう。
合わせて読みたい関連記事
▶ 子どもの便秘、治療のゴールは?「3S」でわかる便秘の目安と治療の考え方|記事一覧つき
本サイトの子どもの便秘の記事を、段階ごとにまとめています。
▶ 子どもの便秘、治療が必要かは「直腸の太さ」で見極める
伸びた直腸がスリムに戻るまでの考え方です。
▶ 子どもの便秘はいつ治る?治療期間の目安「三分の一の法則」
治るまでの期間の目安と、伴走の考え方です。
▶ 浣腸は自転車の「補助輪」|両輪→片輪→卒業
開通後の練習から卒業までの進め方です。
▶ 子どもの便秘と栄養|鉄・ビタミンD不足と「入れる順番」
便秘が長引くお子さんの背景にある栄養を、便秘専門サイトで解説しています。
栄養のヒントを、LINEで受け取る
子どもの栄養について、診察室では話しきれないことや、「今日ひとつだけできること」を、小森こどもクリニック 栄養の公式LINEで少しずつお届けしています。ご登録いただくと「栄養療法スタートアップガイド」もお読みいただけます。何から始めればいいか迷う方は、ここから受け取ってください。
「うちの子はどうだろう」と確かめてみたい方へ
「出るようになったけれど、この先どう続ければいいのか分からない」ときは、ご相談ください。当院の便秘外来では、年間のべ約5,000人のお子さんの排便の悩みに向き合ってきた小児外科専門医が、エコーで直腸の様子を確かめながら、開通したあとの練習の進め方と、ゴールまでの見通しを一緒に考えます。遠方の方の受診の窓口も、下のページにまとめています。
ご予約は、当院ホームページの予約システム(デジスマ診療アプリ)から承っています。
すでに通院中の方へ:出るようになってからが練習の本番です。調子のよい日も悪い日も、次の診察でそのままお聞かせください。
– 栄養外来のご案内|血液検査で、腸を動かす材料が足りているかを確かめます
院長の本|『うんちが出ない!』(2026年12月9日発売)

この記事でお伝えしていることを、一冊にまとめました。年間5,000人が受診する便秘専門外来から生まれた、子どもの便秘の本です。治療コース契約書・排便カレンダーなど、診察室で実際に使っている道具を5大特典として付けています。
診察室の外の発信
診察室では話しきれないこと、医師が何を考えながら診ているのかを、Xでも書いています。
小児外科医 小森広嗣🩺栄養×お腹 @KomoriKodomoCL
この記事の執筆・監修者
小森こどもクリニック 院長 小森 広嗣(こもり こうじ)
小児外科専門医・指導医、医学博士。慶應義塾大学医学部卒業後、東京都立小児総合医療センター外科医長などを経て、小森こどもクリニックを開院。小児外科の出身として、いまは地域の中で、お腹と栄養の外来を深く追求している。
「成長の感動や喜びをお子さん・ご家族と分かち合い、楽しく安心して子育てができる社会を創る」ことを自身のビジョンとし、診療と情報発信の両輪で活動している。
▶ 著書:『うんちが出ない!』(英智舎・2026年12月9日発売)
▶ 取材・講演のお問い合わせ:press@komori-kodomo.com