【小児外科医が解説】浣腸でしか出ないのは大丈夫?「自分で出す力がなくなる」心配への答え|小児科|栄養外来・便秘専門外来なら小森こどもクリニック|根本治療に対応

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【小児外科医が解説】浣腸でしか出ないのは大丈夫?「自分で出す力がなくなる」心配への答え

【小児外科医が解説】浣腸でしか出ないのは大丈夫?「自分で出す力がなくなる」心配への答え|小児科|栄養外来・便秘専門外来なら小森こどもクリニック|根本治療に対応

2019年8月07日

【小児外科医が解説】浣腸でしか出ないのは大丈夫?「自分で出す力がなくなる」心配への答え

「浣腸をすれば毎日出るようになりました。でも、前は少しは自分でも出せていたのに、今はまったく踏ん張らなくなって……。浣腸のせいで、自分で出す力がなくなってしまったのではないでしょうか」

便秘外来で、とてもよくいただくご質問です。毎日浣腸を続けているお母さん・お父さんほど、こうした不安を抱えています。

結論は、次のとおりです。「浣腸でしか出ない」状態は、排便のリズムが作れてきた証(あかし)です。練習は、順調に軌道に乗り始めています。

「自分で出せていた」は、「出し切れていた」とは限りません

浣腸を始める前、少しずつ自分で出せていたように見えても、多くの場合は出し切る力が足りず、直腸に少しずつうんちが残っていく状態でした。残ったうんちは水分を吸われて硬く太くなり、便詰まりへ向かっていきます。

だからこそ、まず必要なのは、浣腸の助けを借りて「しっかり出し切る」体験を毎日くり返すことです。当院がめざすのは、すんなり・しっかり・すっきりの「3S」で出せること。回数よりも、この出し方を体に覚えてもらうことを大切にしています。

浣腸は、リズムを作るための「補助輪」

浣腸でしか出ていない状態とは、言いかえれば、毎日決まった時間に、出し切る経験ができている状態です。

日中の活動中に突然出てしまうと、本人も困ります。そこで、夕食のあと・歯みがきのあと・お風呂の前など、ご家庭で決めたタイミングで出すリズムを、浣腸の力を借りて作っていきます。出ても出なくても、決まった時間に淡々と続ける。この積み重ねが、体の中に「この時間に出す」というリズムを刻んでいきます。

浣腸や飲み薬は、自転車の補助輪のようなものです。自分の力で走れるようになるまで支え、いつか外すことを目指す道具です。「癖になるのでは」と心配される方も多いのですが、訓練のために毎日使う前向きな浣腸は、力を奪うものではなく、力を育てるための練習なのです。

「力試し」はしなくて大丈夫。力は、見えないところで積み上がっています

リズム作りのあいだは、こちらのタイミングで出していくため、「待っていたら自分で出せるのか」を試す機会はありません。あえて作っていない、とも言えます。

それでも心配はいりません。最初は10のうち1の力しかなかったとしても、練習を続けるうちに、2、3、4……と力はついてきています。花はまだ咲いていなくても、根は毎日伸びている。わざわざ負荷テストをしなくても、気づけば自分でしっかり出せる日が増えてくるものです。

浣腸は、いつ・どうやって減らしていく? — 卒業に向かうサイン

次に気になるのは、「では、いつ浣腸を減らしていけるのか」ということだと思います。目安になるのは、次のようなサインです。

・ 3S(すんなり・しっかり・すっきり)で出せる状態が、数か月以上続いている
・ 本人が「すっきりした」という感覚を、しっかり持っている
・ 排便の記録が、安定している

こうしたサインがそろってきたら、主治医と相談しながら、少しずつ減らしていきます。当院では、エコーで直腸の様子を確かめ、排便の様子をうかがいながら、一段階ずつ進めます。

気をつけたいのは、「最近調子がいいから」と自己判断で急にやめてしまうことです。ようやく実がなり始めた畑で水やりをやめてしまうようなもので、便が溜まる状態に戻ってしまうことが少なくありません。焦って減らしてやり直すより、ゆっくり確実に進めるほうが、結果として早くゴールにたどり着けます。

また、間隔を空けると、「明後日はあの日だ」と本人が前もって身構えてしまい、かえって負担が大きくなる子もいます。間隔を空けるなら、「その日が来たら淡々とやる」と決めておくこと。そして、うまく回らないと分かったら、迷わず元のペースに戻して大丈夫です。それは後戻りではなく、その子に合うリズムを探している途中なのです。

卒業の一歩は、案外さりげなく訪れます。ある日、浣腸をする前に「自分で出せたよ」。それがトイレでなく、まだおむつやパンツの中であっても、自分の腸の力で押し出せたことが、何よりの一歩です。トイレへ移していくのは、そこから先の課題です。

かかる時間は、その子のペースで

一人立ちできるまでの期間は、数か月のこともあれば、数年単位のこともあります。何年も浣腸を続けて、自分の力で出せるようになっていくお子さんもいます。どれも、その子のペースであって、遅れではありません。

手っ取り早く出すことはできても、手っ取り早く治すことはできません。水をやり続けた畑にだけ実りが訪れるように、排便の力も、毎日の積み重ねの先に育っていきます。浣腸を続けている今の毎日は、うまくいっていない証ではなく、練習が進んでいる証です。焦らず、じっくり一緒に取り組んでいきましょう。

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小児外科医 小森広嗣🩺栄養×お腹 @KomoriKodomoCL

この記事の執筆・監修者

小森こどもクリニック 院長 小森 広嗣(こもり こうじ)

小児外科専門医・指導医、医学博士。慶應義塾大学医学部卒業後、東京都立小児総合医療センター外科医長などを経て、小森こどもクリニックを開院。小児外科の出身として、いまは地域の中で、お腹と栄養の外来を深く追求している。

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